「こども」の表記について伺いました。
「子ども」派3分の2、「子供」派4分の1
5日は「こどもの日」でしたが、普段「こども」はどう書きますか? |
子ども 63.3% |
子供 25.4% |
こども 5.4% |
特に意識していない 6% |
「子ども」派が3分の2近くと多数を占めました。しばらく前から「子ども」という表記が増えているという印象はあるので、それに違わぬ結果と言えるでしょう。漢字書きの「子供」派はおよそ4分の1でした。
5月5日の「こどもの日」に合わせたブログで「こども」の表記について取り上げました。
それによると、毎日新聞の記事データベースに収録された「子ども」の表記が使われた記事と「子供」が使われた記事は、2010年ごろから現在まで、ほぼ同数で推移しています。しかし一般の使用実態においては「子ども」が「子供」を追い抜き、大きく差を付けているようです。
ブログに掲載したグラフでは、その前10年ほどの間に「子ども」の使用件数が右肩上がりで伸びていることも見て取れます。20年ほど前に同様のアンケートを取っていたなら「子ども」と「子供」の比率は逆だったかもしれません。
「こども」の「ども」は、元々は複数を表した接尾語であったものが意味を失った形で、「供」は当て字であって大人の添え物のような意味はない、というのが定説です。よって「子供」と書くことに意味の上での問題は何らありません。一方、当て字であるものはかな書きにした方がよいという考え方からすれば、「子ども」という表記を選ぶこともあり得るでしょう。
少なくとも現時点においては「こども」の表記について、「子ども」と「子供」のどちらかに統一せよ、と無理に決めつけるべきものではないと考えます。アンケートでは「子ども」を選ぶ人が多数を占めましたが、たとえば「こどもたち」「こどもら」などと書くときには、「子どもたち」「子どもら」よりも「子供たち」「子供ら」の方が使い勝手が良いように感じます。両様の表記が生き延びていくのではないでしょうか。
(2018年05月25日)
毎日新聞では「こどもの日」のような固有名詞を除いては、「こども」の表記について特に方針を決めてはいません。紙面での使用実態においても、ここ数年はほぼ半々で、全体としてみれば「どちらでも問題ない」という方針になっているとも言えるかもしれません。
近年、文部科学省では公用文において「子供」と書くことを申し合わせたそうです。常用漢字表の「供」の項目に「子供」が挙げられていることが根拠とのこと。ですが、あくまで省内の取り決めであり、外部にまで強制力を伴うものではありません。
「子供」の「供」の字を嫌う人もあれば、漢字で書ける「供」をあえてひらがなで書くことを嫌う人もおり、これはもはや好みの問題でありましょう。落としどころを見つけられるものでもなさそうで、各人自分の好みの表記を使うと同時に、他人の表記はあまり気にしないようにする、というほどの態度でよいのではないでしょうか。
(2018年05月07日)