大相撲の立行司が短刀を身につけているのは、軍配をさし違えた場合には切腹も辞さないという決意の表れですが、この「さし違え」は無論「刺し違え」でなく「差し違え」。「さす」の漢字の使い分けは、刺・指・差・挿など種類が多く、使い分けに迷う場合も少なくありません。
使い分け
さす
刺〔突き刺す〕
くぎを刺す、刺し違えて死ぬ、とげが刺さる、刃物で刺す、本塁で刺される
指〔指示、指向、指定〕
指し切り〈将棋〉、指し示す、指図、指し値、将棋を指す、名指しする、目指す方向
(注) 「指さす」「人さし指」は仮名書き
差〔差し挟む、かざす、現れる、兆す、「差し」は接頭語にも〕
影が差す、傘を差す、刀を差す、記事差し止め、行司の差し違え、差しつ差されつ、差し戻し、抜き足差し足、抜き差しならぬ、日・光が差す、魔が差す、物差し
挿〔挿入〕
かんざしを挿す、挿絵、挿し木、花を挿す
ストローが「ささった」紙パックという場合、6割超が「挿さった」を選びました。「ささる」という語の漢字表記で、辞書などに記載があるのは「刺さる」のみですが、多くの人はそれだけでは済まされない場合もあると考えているようです。...