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大修館書店編集第1部の正木千恵部長(右)と松岡澪さん
明鏡国語辞典の編集者に聞く
![“誤用に詳しい”明鏡国語辞典、さらに進化](https://salon.mainichi-kotoba.jp/wp-content/uploads/2020/12/DSC_6265-300x300.jpg)
![時代の変化に積極的に対応する明鏡](https://salon.mainichi-kotoba.jp/wp-content/uploads/2020/12/DSC_6271-1-1-300x300.jpg)
目次
ふさわしい類語示す「品格」欄
――第3版での新しい試みは。
松岡さん 今回新しく「品格」欄というものを作りました。普段使いの言葉から、あらたまった場面でも使える類語を探せる欄です。
それぞれ用例を示し、必要に応じて、「一抹」は不安や寂しさ、「一縷(いちる)」は希望や望みなど前向きなものに使う、というような説明も入れ、文脈に応じた使い分けができるようにしました。
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国語辞典で、語彙(ごい)を広げる工夫ができないかと考え、このような形で実現しました。
「飲み会」などの語にも「品格」欄を入れました。
正木さん 「時を得顔」のようにすごく古風な言葉が入っているので、そういうところも楽しんでもらえたらなと思います。
きっかけがないと語彙は広がらないので、興味をもって引いてもらえるような類語も意識して入れました。
松岡さん 類語と一口で言っても、イコールになる語とならない語がありますし、「品格語」の中でも仰々しくなってしまう語と普段のコミュニケーションでも使いやすい語があると思うので、それぞれの語の性質が分かるよう、用例を入れています。
――品格欄をつけた言葉はどういう基準で選んだのですか。
松岡さん 普段使いやすい語や「品格語を入れたい」ということで入れた言葉もあります。後ろの見返しに「品格」欄一覧があります。
正木さん 「どや顔」「やばい」のように、高校生が使ってしまいがちな、日常語も意識して選びました。
思わぬ間違いに気づける「読み分け」欄
松岡さん それから、辞書では多分初めてなのではないかと思いますが、「読み分け」欄を新たに設けました。
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書籍も常用漢字以外の漢字にはルビを振るんですが、こういう平易な字にはルビを振らないので、意外に読み間違いがおこりやすいんですね。
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正木さん 言葉を知っている人は読み間違いはそんなにないかもしれませんが、なにしろ気づきにくいので、大人でも思わぬところで勘違いしていることがあります。ひっそりこっそり読んで、直してもらえれば。
よりストレートに「書き分け」欄
松岡さん 「書き分け」欄も新しく設けました。同音異義の漢字の「つくる」「ついきゅう」の書き分けなどをとりあげています。平成26(2014)年の文化審議会国語分科会の「『異字同訓』の漢字の使い分け例」報告にも準拠しています。
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正木さん 読者から、明鏡の表記の解説は詳しいけれど、説明が入りくんで分かりにくいという声もいただいていました。いろいろな事情や立場に配慮して、説明に苦労していたのですが、もう少しストレートに言うようにこころがけました。
――明鏡は「新聞ではこう書く」という説明も特徴的ですね。
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新聞の表記を記している項目の例
正木さん 昔から新聞には独自の表記の方針があり、また影響力も大きいため、初版の時から説明を入れてきました。
例えば「斑点」の代わりに使われていた「班点」など、かつて行われていた表記も、現在私たちが目にする文献の中で出会うかもしれないので、「もと、新聞では『班点』で代用した」のような言い方で説明を残しています。
【まとめ・河村雄一郎】