しばしば見かける、本来とは違う意味合いで使われている言葉や、辞書ではあまり見つからない表現について、「直す」か「直さない」かをマスコミ各社の用語担当者に聞いたアンケートからまとめました。(調査について詳しくはこちらの①をご覧ください)
目次
電卓をたたいている
直す=14社 |
直さない=6社 |
全体では、慣用句である「そろばんをはじく」のほか「予想している」「見込んでいる」などに直すという声が多かった。
しかし「電卓をたたく」について問題ないとする意見も少なくなく、「これはこれで近年の慣用句として成立している気がする」「『かぶとを脱ぐ、シャッポを脱ぐ』『筆を折る、ペンを折る』など異なる言い方をするものもある。従来のものにこだわらず、新しい表現を編み出してもいいのでは」「そろばん自体見かけなくなっており、許容できる」「電卓の方が実感できる」などのコメントがあった。
問題があるという立場からは「慣用句の文言まで変えるのはいかがなものか。これが認められるなら『月夜に炊飯器(釜)を抜かれる』『税金(年貢)の納めどき』なども許される」という指摘もあった。
前がかり
直す=13.5社 |
直さない=6.5社 |
「前がかり」は普通の辞書には載っていないが、この場合、ほぼ2対1で「前のめり」「前かがみ」などに直すという声が優勢だった。ただ今回の例文に関しては「相撲の話題だから」直すとし、「サッカーでは使う」という意見が多かった。
競技を問わず「辞書にない言葉はやはり使いたくない」という声もある一方、「ニュアンスは分かる」などと相撲でも許容する意見も一定数あった。
意味については「『攻撃重視』の意味のようだ。『積極的』『攻撃的』と解釈される一方、『守備が手薄』『全体のバランスを考えていない』など否定的なニュアンスで受け取る向きもある」「『つんのめる程に前に傾いた様子、勢い』といった意味で最近よく使われているのではないか?」などという指摘があった。
なごやいだ
直す=18社 |
直さない=2社 |
「なごやかな」に直すという意見が圧倒的だった。「華やいだ」との混同だろう、との指摘も。「三省堂新国語辞典で『なごやぐ』が採用され、おどろいたが『なごやかな』に直しておくのが無難」との声があった。
「どちらともいえない」などとした社は、「採用する辞書もあり、文法的にも否定する材料がない」「見出し語に掲げる辞書も出てきたが、一般に浸透しているとまでは言いがたい」などとコメントした。