読めますか? テーマは〈魚〉です。
目次
漁り火
いさりび
(正解率 97%)魚を誘い寄せるため夜に船でたく火。「漁り火の」は「ほのか」などにかかる枕ことば。北海道新幹線の開業に伴い並行在来線は「道南いさりび鉄道」になった。車窓からいさり火が見えることもあるという。
(2016年03月28日)
選択肢と回答割合
いさりび | 97% |
りょうりび | 1% |
すなどりび | 2% |
鰊群来
にしんくき
(正解率 35%)産卵期のニシンが大群で北海道西岸に来ること。長く見られなかったが近年は毎年のように現れ、今年も2月に小樽市の海岸で確認された。ニシンは春告げ魚という異名を持つ。「群来」は「ぐんらい」とも読む。
(2016年03月29日)
選択肢と回答割合
にしんくき | 35% |
かずのこ | 37% |
あいなめ | 27% |
𩸽
ほっけ
(正解率 44%)北海道など北方の海で取れる魚。「ホッケの幼魚は色鮮やかな緑色で美しいことから『𩸽 』の字が当てられる。また『北方』『北魚』と書いてホッケと読む」(東京堂出版「語源辞典動物編」)
(2016年03月30日)
選択肢と回答割合
ほっけ | 44% |
このしろ | 29% |
さわら | 27% |
柳葉魚
ししゃも
(正解率 56%)北海道むかわ町が主な産地の魚。シシャモは北海道太平洋沿岸でのみ取れる日本固有の魚だが、国内では輸入のカラフトシシャモが代用魚として広く流通している。
(2016年03月31日)
選択肢と回答割合
ししゃも | 56% |
さより | 36% |
かます | 8% |
関サバ
せきさば
(正解率 90%)瀬戸内海と太平洋の間の豊後水道で取れ大分市の佐賀関で水揚げされるサバ。地域団体商標となっているブランドだ。なお、エープリルフールはフランスでは「4月の魚」といい、魚はサバを表すという説がある。日本では「さばを読む」といううそがある。
(2016年04月01日)
選択肢と回答割合
かんさば | 8% |
せきさば | 90% |
ぜきさば | 2% |
◇結果とテーマの解説
(2016年04月09日)
この週は「魚」がテーマでした。新幹線開業にちなみ北海道でよく取れる魚を中心に選びました。
「漁り火」は魚ではありませんが、北海道新幹線開業とともに第三セクター運営となった「道南いさりび鉄道」を意識しました。かなり正解率が高く、三択とはいえ読みやすい漢字という結果がでましたが、鉄道名は平仮名。これに限らず新幹線に伴いJRから転換した第三セクターは「いわて銀河鉄道」「えちごトキめき鉄道」「あいの風とやま鉄道」など、なぜか平仮名が目につきます。まあ「いさりび」の場合は和語なので平仮名こそがふさわしいのかもしれませんが。
「鰊群来」は今回最も正解率が低くなりました、「群来」が難しかったと思われます。たしかNHK連続テレビ小説「マッサン」でも出てきました。マッサンのオリジナルサウンドトラックには「ニシン群来祭り」という題のBGMが収録されています。
「𩸽」も難読でした。普通は仮名表記なので無理もありません。「食べ頃は秋から冬」ということですが「春も脂がのって味がよくなります」と江戸家魚八著「魚へん漢字講座」(新潮文庫)にあります。ついでにもう少し引用しますと、
新鮮なホッケの刺身は特においしく、北海道の地元では「白身のトロ」といわれています。
ということですが、「北海道以外では新鮮なものは入手しにくい」ので、刺し身を現地で味わうため、北海道新幹線で行きたいところです。
「柳葉魚」も当方カラフトシシャモばかりで本物のシシャモを食べた記憶がありません。「暮らしのことば語源辞典」(講談社)によると、
シシャモという語は、アイヌ語のススハムに基づくもので、ススは柳、ハムは葉を意味するという。(中略)散ってしまった柳の葉が、天に帰りたいと願ったがかなわないので、神が哀れんで魚としての命を与えたというアイヌの伝説がある。
「関サバ」は北海道には関係ありませんが「4月1日→エープリルフール→うそ→サバを読む」の連想です。「暮らしのことば語源辞典」によると
語源としていくつかの説があるが、魚市場で鯖(さば)などは非常に早口で数えながら箱へ投げ込まれるため、実数と合うことはまずない、というのが有力。
とのこと。「読む」は「数える」という意味です。
ところで、「魚へん漢字講座」の「鰊」の項には「中国ではニシンは『鯖』と書きます」とあって「へえー」。しかし円満字二郎著「部首ときあかし辞典」(研究社)によると
【鰹】【鯖】【鰊】などでは、辞書によって、中国語でも指す魚は同じだとしたり、いや、それは日本語独自の用法だとしたりと、対応が分かれる。
とあるので、一方だけ引用すれば誤解を招きかねませんでした。辞書は複数引いた方がよいという実例ですね。