読めますか? テーマは〈烏〉です。
目次
烏焉
答え
うえん
(正解率 88%)字形が似ているので間違えやすいこと。焉は終焉のエンだが、これよりよほど「鳥」と「烏」の字の方が似ている。「烏焉馬(うえんば)」などともいう。
(2014年06月16日)
選択肢と回答割合
うえん | 88% |
うしょう | 10% |
ちょうせい | 2% |
烏有
答え
うゆう
(正解率 84%)何もないこと。「烏(いず)くんぞ有らんや」ということからで、カラスとは直接の関係はない。「烏有に帰す」は火事などですべてを失ってしまうことを表す慣用句。
(2014年06月17日)
選択肢と回答割合
うゆう | 84% |
からすあ | 8% |
ちょうゆう | 8% |
烏帽子
答え
えぼし
(正解率 93%)昔、元服した男子がかぶった冠。カラスのように黒い帽子ということから。蹴鞠(けまり)の装束として欠かせない。京都・下鴨神社ではサッカー・ワールドカップ開幕前に蹴鞠が奉納された。
(2014年06月18日)
選択肢と回答割合
えびす | 4% |
えぼし | 93% |
かぼす | 3% |
烏兎
答え
うと
(正解率 76%)カラスとウサギ。また、太陽にカラス、月にウサギがいるという中国の伝説から、太陽と月、あるいは年月を表す。烏兎匆々(そうそう)は月日がたつのが早いこと。
(2014年06月19日)
選択肢と回答割合
うさぎ | 16% |
うと | 76% |
からと | 8% |
八咫烏
答え
やたがらす
(正解率 92%)太陽にすんでいるという3本足のカラス。古事記によると、神武天皇を熊野から大和へと道案内した。日本サッカー協会(JFA)や日本代表のマークになっている。咫は昔の単位で、1咫は約18㌢。八咫烏の「八」はその8倍というより単に大きいことを表すとされる。
(2014年06月20日)
選択肢と回答割合
やたがらす | 92% |
やちがらす | 6% |
やまたがらす | 2% |
◇結果とテーマの解説
(2014年06月29日)
この週のテーマは「烏」。サッカー日本代表のユニホームにある「八咫烏」から決まったテーマです。
カラスは鳥の中で最も嫌われ者といえそうですが、人間の身近にいる鳥だけにさまざまな伝説や言葉、歌になっています。この漢字クイズでも、以前「烏鷺の争い」「反哺」「金烏」を出題しました。烏鷺は囲碁のこと。反哺は長く言えば「烏に反哺の孝あり」、親孝行のたとえです。そして「金烏」は太陽にすむという3本足のカラスのこと。この時は「きんちょう」「こんう」と割れ正解「きんう」は31%と低い数字でした。
それに比べ今回は最低でも「烏兎」76%と大変よく読めています。選択肢のせいかもしれませんが、クイズ参加者がそれだけ手ごわくなっていることも大きいでしょう。
「烏兎」の出題時に思い出したのですが、昨年末に月に降り立った中国の探査車の名前が、月にいるという中国伝説にちなみ「玉兎」でした。その後どうなったのでしょう。ネットニュースによると生きているらしいのですが、詳細は分かりません。
「烏焉」では「焉」より「鳥」の字の方が「烏」と似ていて間違えやすいと書きました。烏の字について「部首ときあかし辞典」(円満字二郎、研究社)は「『鳥』から派生した漢字。「鳥」の“目”にあたる部分を抜いて、全体が黒くてどこが目なのか見分けがつかない鳥を指す、というおもしろい説がある」と記されています。
しかし、なぜ「字形が似ていて間違えやすい」という意味の言葉が「烏鳥」でなく「烏焉」となったのでしょう。想像ですが、ともに「いずくんぞ」と読み下される字に使われる字なので「烏」「焉」が選ばれたのではないでしょうか。
ところで「暮らしのことば語源辞典」(講談社)によると、古代の日本人はカラスの鳴き声を「コロク」と聞いたようです。《万葉集に「烏とふ大軽率鳥(おほをそどり)の真実(まさで)にも来まさぬ君をころくとぞ鳴く」という歌があって、「ころく」に「子ろ来」という意味と鳴き声がかけてある》とあります。この「子」は恋人の意味らしいのですが、童謡では「カラスなぜなくの カラスは山にかわいい七つの子があるからよ」と歌われます。昔から「子」を連想させる鳥だったようです。
ちなみに今回の写真は出題者の子の誕生祝いにいただいた「からすのおかしやさん」(かこさとし、偕成社)から。個人的なもので恐縮ですが、リアルな写真よりはかわいいでしょう。