読めますか? テーマは〈夏の実り〉です。
目次
山桜桃
ゆすらうめ
(正解率 39%)梅雨の頃に赤い実をつけ食用・果実酒にする。「桜桃」などとも書く。桜桃は「おうとう」と読めばサクランボを表す。なお6月19日は太宰治の忌日「桜桃忌」だ。
(2017年06月19日)
選択肢と回答割合
ゆすらうめ | 39% |
やまさくらんぼ | 32% |
やまもも | 29% |
南高梅
なんこううめ
(正解率 46%)高級品種の梅。戦後「なんこう」の愛称で呼ばれる和歌山県立南部(みなべ)高校の教諭らが作業に関わり命名。「紀州みなべの南高梅」は地域団体商標に登録。先日、大量に盗まれる事件があった。
(2017年06月21日)
選択肢と回答割合
なんこううめ | 46% |
みなみだかうめ | 1% |
なんこうばい | 54% |
李
すもも
(正解率 79%)西洋種はプラム。音読みは「り」で「李下に冠を正さず」は「スモモの木の下で冠を直そう手を上げるとスモモ泥棒と思われるので、疑われるような行為は避けよ」という意味のことわざ。
(2017年06月23日)
選択肢と回答割合
すもも | 79% |
びわ | 9% |
あんず | 12% |
◇結果とテーマの解説
(2017年07月02日)
この週のテーマは「夏の実り」でした。三つともバラ科の植物です。
「李」は実物以上に「すもももももももものうち」というフレーズで知られているのではないでしょうか。
この言葉遊びは漢字だと意味がないのですが、「李下に冠を正さず」ということわざを学校で習うさい「李」とはスモモのことと教わったことを覚えている人も多いと思います。疑われるような行為を避けよという意味でこのことわざが生まれたということは、古代中国でスモモを畑で盗む人が多いという事情があったのでしょうね。
現代日本でも「南高梅」泥棒がニュースになりました。毎日新聞月曜朝刊「週刊漢字」でそれにちょっと触れたところ、一報が大阪本社版(6月10日夕刊)にとどまっていたので、どんな事件か気になった東京本社管内の読者もいらしたようです。ここに一部引用します。
梅生産量日本一の和歌山県を代表する梅の高級品種「南高梅」が、県南部の梅農家の倉庫から、たるごと大量に盗まれる被害が相次いでいる。県警などによると、昨年2月以降、農家5軒で、たる約1000個分(約10トン、約523万円相当)が盗難。県警は手口などから同一犯の可能性もあるとみて窃盗容疑で捜査している。南高梅は近年価格が高騰しており、闇ルートで売却されているとみられる。
ところで「南高梅」は近年よく見かける文字ですが、ルビが振られることが少ないためか「なんこうばい」と読む人の方が多いことが、このクイズからうかがえます。かくいう出題者も当初「なんこうばい」と読んでいました。
そしてちょっと意外だったのは「南高梅」を載せる紙の辞書が見当たらなかったことです。デジタル大辞泉では「紀州みなべの南高梅」と「南高」が検索できますが、紙の大辞泉2版には載っていません。地域団体商標名はどんどん増えていきそうなので紙の辞書としてははじめから見送るという判断でしょうか。いや、同じ地域団体商標でも「関あじ」「関さば」は紙の大辞泉にも載っています。判断基準が気になります。
写真の「ゆすらうめ」を大辞泉2版で引くと漢字は【梅桃/英桃/桜桃】とあります。日本国語大辞典2版では【英桃】、広辞苑6版では【桜桃・山桜桃・梅桃】、大辞林3版では【山桜桃】とバラバラ。バラ科だけに……というのは下手な冗談ですが、いずれにせよ当て字でしかも文献上確定した表記がないためでしょう。しかし歳時記ではなぜか一様に「山桜桃」を取っています。
俳句は平仮名の方が多いようですが
山桜桃(ゆすら)熟れ労農夙(つと)に畦をぬる
という飯田蛇笏の句例があります。
ちなみに茨城県に「山桜桃(ゆすら)」という銘柄のお酒があるそうです。飲んでみたい。