
「立ち居振る舞い/立ち振る舞い」という表現について伺いました。
目次
「立ち居振る舞い」派が7割超す
| 「立ち居振る舞い」と「立ち振る舞い」。どちらを使いますか? |
| 「立ち振る舞い」は誤りなので、「立ち居振る舞い」を使う 36.8% |
| いずれも誤りではないが、「立ち居振る舞い」を使う 34.8% |
| いずれも誤りではないが、「立ち振る舞い」を使う 22.5% |
| 「立ち居振る舞い」は誤りなので、「立ち振る舞い」を使う 6% |
「立ち居振る舞い」を使う人が全体の7割を超えました。「立ち振る舞い」に関しては、こちらを使う人よりも、誤りと考える人の方が多いという結果に。日常の動作全般を指すという意味では、「立ったり座ったり」を意味する「立ち居」含む「立ち居振る舞い」がなじむと考える人が多いようです。
いずれも誤りではない
「立ったり座ったりする身のこなし。日常の起居動作。立ち振る舞い」(明鏡国語辞典3版)と説明される「立ち居振る舞い」ですが、説明の中に「立ち振る舞い」も明記されています。
回答すると表示される解説でも書きましたが、いずれも誤りではありません。古くから使われている表現です。日本国語大辞典(2版)の用例では、「立ち居振る舞い」は1477年の「史記抄」からのものが最古。一方の「立ち振る舞い」は、1400~02年ごろとされる「風姿花伝」からの用例が載っており、確認された用例としては「立ち振る舞い」の方が古いことになります。
それ以降も近代にかけて、いずれも複数の用例が挙げられています。「挙動」「動作」「起居動作」といった漢字表記に「たちふるまい」ないし「たちいふるまい」の読みが当てられており、見る限りでは同じような使い方と考えられます。どちらかが本来の言い方であるというよりは、ともに使われてきた表現だと見なしてよさそうです。まずどちらかを誤った表現であると受け止めるのは控えるのが穏当でしょう。

近現代は「立ち居振る舞い」優勢
さてしかし、実際の使われ方がどうかというのは別の話になります。今回のアンケートでも7割が「立ち居振る舞い」を使うとしていますし、近現代の使用実態が「立ち居振る舞い」に傾いている可能性はあります。
公式の場面での話し言葉について調べる際には国会の会議録が便利です。戦後の第1回から今国会(第221回、2026年3月21日検索)までを検索すると、「立ち居振る舞い」で108件、「立ち振る舞い」では22件がヒットします。およそ5対1で「立ち居振る舞い」が優勢です。
書き言葉ではどうかと「青空文庫」で検索してみると、送り仮名を省いた「立居振舞」では50件以上がヒットする一方で、「立振舞」では4件。送り仮名をつけても傾向に変わりはありません。
「立ち居振る舞い」が好まれる理由らしいものをあえて探せば、「立ち居」がそれだけでも日常の動作を指して使われる言葉であることが挙げられるでしょうか。同じ意味の文字や言葉を重ねることも多い日本語としてなじむ感じがします。「立ち居・振る舞い」という独立した単語を重ねた言葉として考えた場合には「立ち振る舞い」が「居」の欠落した誤りのように見える可能性は高いでしょう。
「立ち振る舞い」は変化して復権か
とはいえ。先ほど国会会議録の数字を挙げ、「5対1」で「立ち居振る舞い」が優勢だと記しましたが、数字を過去10年(2016年以降)以降に絞ると「立ち居振る舞い」28件に対し「立ち振る舞い」9件と、およそ3対1まで差が縮まります。最近は「立ち振る舞い」の使用頻度が上がっているとも見えます。
ただし、「グローバルなエコノミーの中での日本の立ち振る舞い」(第201回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号、緑川貴士議員=当時=の発言)といった使われ方を見ると、普段の身のこなしというよりは「立ち回り」のような利害の絡んだ意味合いを含めて使っているという印象も受けます。「立ち居振る舞い」の誤りではないということは改めて確認しますが、意味も違う別語として復権しようとしているのかもしれません。
(2026年03月23日)
「日常の動作における身のこなし」を意味する「立ち居振る舞い/立ち振る舞い」。結論からいえば、いずれも誤りではありませんが、現代では「立ち居振る舞い」のほうが収まりが良いと思う人も多いのではないかと思います。
辞書などの情報サイト「ジャパンナレッジ」に載っている辞書編集者の神永暁さんのコラム「日本語どうでしょう?」では、「『立ち振る舞い』という言い方」という項目で、いずれも歴史的な用例があることを紹介しています。神永さんは「思い込みはいけない」としつつ「『立ち振る舞い』は誤用だと思っていた」とつづっています。
出題者も以前は「立ち居振る舞い」が正しいと思っていましたが、現在は原稿に「立ち振る舞い」とあっても直しを入れることはありません。ただし、実際にどちらが使われるかというのは、また別問題だとも思います。皆さんはどちらを使うでしょうか。
(2026年03月09日)
