
隙間(すきま)が「あく」という場合の表記について伺いました。
目次
「空く」が6割占める
| 壁紙の継ぎ目に隙間(すきま)が「あく」――どう書きますか? |
| 空く 62.1% |
| 開く 21.8% |
| あく 16.1% |
隙間が「あく」という場合の表記は、「空く」を選んだ人が多数派で、6割超を占めました。一般に「空く」が使いやすいということは言えそうですが、場合によっては「開く」がなじむこともありそうです。悩みそうな時や表記揺れを防ぎたい場合は、仮名書きにすることも考えられます。
そこには何もない「空」
「空」の字について、文化庁の「言葉に関する問答集6」(1980年)は、
「穴(あな)」と「工(音符=つきぬく意)」との会意兼形声文字である。音のクウに当たる中国語としての「空」は「つきぬけて穴があき、中に何もないこと」を示す語である。
としています。また「空く・空ける」は「ふさがる・ふさぐ」の対語だとして「穴(手・席・すき間・行間)が空く」という例を載せています。
円満字二郎さんの「漢字の使い分けときあかし辞典」(研究社)でも「中身がなくなる場合、すきまができる場合は、《空》を用いる」とあります。あっちでもこっちでも「空く」の例に「隙間」が出てくることを考えると、「空く」と書くのが正解と思えてきます。
向こうが見える「開」
一方の「開く」。前出の「問答集」は
「開く・開ける」は、「閉まる・閉める」の対語で、
窓(戸・とびら・幕・目)が開く。 どんなカギでも開く。 開かずの間。 金庫の開け方。 開けっぴろげ。 店を開ける。 開いた口がふさがらない。
など、「閉じていたものがひらく」意味の場合に使われる。
としています。
やはり前出の「使い分けときあかし辞典」は「出入りや出し入れができるようになる場合、中が見られるようになる場合は、《開》」と書きます。単に空間があるというよりは、その空間を使って何かをする、何かができるというニュアンスがあるようです。
何を伝えるかで使い分けも
アンケートの結果でも「空く」が6割で、「開く」の2割に対してだいぶ差がついています。であれば隙間には「空く」で決まりだ、と言えるかというと、まだ少し考慮の余地がありそうです。
毎日新聞の過去記事を見ると、こんな記述があります。
引き戸はドアに比べ開閉しやすい一方、強く閉めると大きな衝撃音が生じ、跳ね返りで隙間が開いてしまう難点があった。
わかるわかる、という場面ですが、この場合の隙間は戸が開くことによってできるもので「開く」の方がなじむ印象を受けます。

あるいはこんなものはどうでしょう。スペースシャトル「コロンビア」の事故原因を探るために行われた実験の記述です。
実験では、重さ約0・75キロの断熱材を秒速233メートルで左翼の模型に衝突させた。その結果、(中略)パネル同士を接合しているT字形部品との間に長さ約66センチ、幅数ミリの隙間が開いた。
ぴったり閉じていたものに隙間ができた、という場合には「開いた」がなじむように見えます(「ひらいた」と読むこともできますが)。
多くの場合は「空く」が使いやすく、また実際によく使われるとしても、まさに隙間が生じるような場合に「あく」を使うなら、「開く」と表記するのもしっくりくると言えるでしょう。あるいはこうした使い分けが悩ましいという場合には、かな書きで「隙間があく」とするのもよい選択ではないかと考えます。「空く」を基本としつつも、こだわることなく柔軟に書き分けるのがよさそうです。
(2026年01月26日)
隙間が「あく」という表現で漢字表記をどうするかという問いです。「あく」には「空く/明く/開く」などの表記があり、「席が空く/らちが明く/幕が開く」といった使い分けが考えられます。
それでは「隙間があく」はどうでしょうか。本来ぴったりくっついて閉じたように見えるものが、ずれてしまって隙間ができる。そう考えれば「開く」が適切と感じるかもしれません。しかし本来ならふさがっているべき場所に空間ができていると考えれば、「空く」がふさわしいとも言えそうです。
毎日新聞用語集では「あく・あける」の項目で「間が空く」「穴が開く」という例を示しています。これに従えば「隙間」も「間」の一種なので「隙間が空く」と書くべきでしょうか。しかし穴のようなものでもあるので「隙間が開く」も否定できないとの印象を持ちます。使い分けに悩むぐらいなら平仮名で「あく」にするという向きもありそうです。皆さんはどう考え、どれを選んだでしょうか。
(2026年01月12日)
