「はなを添える」は「華」か「花」か。「華」は「いちばん〈すぐれた/はなやかな〉もの」(三省堂国語辞典)。「花」が「はなやかな部分」(同)などとして、より一般的に使われます。多くの辞書も「花を添える」を示しています。
使い分け
はな
花〔植物、花のように人目を引くもの〕
生け花、花形、花が散る、花の5人衆、花の都、花道、花も実もある、花を添える、一花咲かせる
華〔比喩・形容表現に〕
火事とけんかは江戸の華、華々しい、華やか、華やぐ、武士道の華、文化の華
「錦上(きんじょう)に花を添える」という表現もあります。北宋の政治家、王安石の即事詩の句「麗唱仍添錦上花」が出典で、「錦の上に花を置くように、美しい物の上に、さらに美しい物を加える」(日本国語大辞典)という意味。錦は美しい模様の織物のことです。
「花」は、古くは「百花にさきがけて咲くところから」(大辞林)、特に梅の花をさしても使われました。現在は「花見」のように桜についていう表現がありますが、花の代表として桜の花をさす用法は、平安時代後期に定着したそうです。
白川静「字通」は「花は華と同じ字とされるが、慣用にも異なるところがある。古くは華を用いた。花は後起の字」と説明しています。