「明日は真冬日になるでしょう」。こんな天気予報が忘れられないのが、初任地の青森市で過ごした冬です。日本で唯一、特別豪雪地帯に指定されている県庁所在地。特に厳冬期には最高気温が0度未満の真冬日が続き、雪の壁は溶けずに高さを増していきます。雪など年に数回程度の東京で生まれ育った私には、驚くことばかりでした。もちろん真冬日もこの年が初体験。「今まで私が過ごしてきたのは、『真の冬』ではなかったのか」と新鮮な驚きでした。
「真冬日」にならび、最低気温が0度未満の日を「冬日」といいます。これらは気象庁が天気予報や報道発表で使う解説用語で、寒い日には紙面に登場する地域も。同じ解説用語には「真夏日(最高気温30度以上)」と「夏日(同25度以上)」があり、07年に「猛暑日(同35度以上)」が加わって話題になりました。育った地域の違いか、私には夏の方がずっと身近な言葉です。
全国ではどうでしょうか。気象庁の気象統計情報から、各都道府県の県庁所在地の平均気温(81~10年)を調べてみました。寒さ厳しい1月、「真冬日」があったのは札幌(24日)のみ。「冬日」はというと、北海道以外は東北を筆頭に北関東から北陸にかけての18県だけでした。じつに過半数の28都府県は、「真冬日」も「冬日」も迎えないまま1年を過ごす計算です。逆に暑い盛りの8月、「真夏日」は九州・沖縄から関東まで32都府県が31日、東北・北陸までの10県は6~30日でした。一度も「真夏日」がないのは北海道・東北の5道県にとどまり、残りはすべて「夏日」と、夏の方は全国を席巻しています。南北に長く季節も多様な日本とはいえ、「夏」と「冬」が均等に来ないなんて、なんだか不思議に感じませんか?
気象庁天気相談所によると、真夏日や真冬日といった基準は外国由来なのだそう。英語圏では、Hot day(最高気温30度以上)、Summer day(同25度以上)、Frost day(最低気温0度未満)、Ice day(最高気温0度未満)という表現がありました。気象庁はそれぞれに真夏日・夏日・冬日・真冬日と日本語を当てはめ、1961年に通達を出して解説用語として用いるようになりました。Frost(霜)やIce(氷)などは意訳されましたが、区分の理由は原語の方がわかりやすい表現かもしれませんね。
【三股智子、写真も】