読めますか? テーマは〈桃の節句〉です。
目次
雪洞
ぼんぼり
(正解率 46%)小型のあんどん。童謡「うれしいひな祭り」の「あかりをつけましょぼんぼりに」で有名。ひな飾りは宮中の婚礼を模したものだが、昔の婚礼は夜に行われたという。そういえば婚の字には日暮れを意味する「昏」が含まれる。
(2013年02月25日)
選択肢と回答割合
あんどん | 5% |
かまくら | 50% |
ぼんぼり | 46% |
古今雛
こきんびな
(正解率 72%)ひな人形の一種。江戸後期、当時の様式と古代びなを折衷させたもの。後のひな人形の主な様式になったとされる。古今東西は「ここん」だが、古今和歌集などは「こきん」。キンは平安時代ごろには正式とされていた読みという。
(2013年02月26日)
選択肢と回答割合
こきんびな | 72% |
ここんびな | 25% |
ふるいまびな | 3% |
蛤
はまぐり
(正解率 94%)貝殻がぴったり合うことから良縁に通じるとされ、ひな祭りに食べられるようになった。なお「ぐれる」という非行を表す俗語はハマとグリを逆にした「ぐりはま」(食い違うこと)からきたという。
(2013年02月27日)
選択肢と回答割合
あさり | 5% |
あわせ | 1% |
はまぐり | 94% |
形代
かたしろ
(正解率 76%)みそぎなどに使われる人形(ひとがた)。紙などで作った人形を川に流して厄を払う昔の風習が、ひな人形を飾る行事へと変わったといわれる。
(2013年02月28日)
選択肢と回答割合
かたしろ | 76% |
けいたい | 9% |
ぎょうだい | 15% |
賦する
ふする
(正解率 81%)漢詩などを作ること。昔の中国では、3月3日に「曲水の宴」があった。小川にうかべた杯が流れ着く前に詩を賦すという遊びだ。王羲之の「蘭亭序」はこの宴の様子を書いたもの。
(2013年03月01日)
選択肢と回答割合
かっする | 7% |
とする | 12% |
ふする | 81% |
◇結果とテーマの解説
(2013年03月10日)
この週のテーマは「桃の節句」でした。
最も正解率の低かったのは「雪洞」。出題者にはやや意外な結果です。テーマがヒントになって「あかりをつけましょぼんぼりに」という歌が浮かんでくれば、あてずっぽうでも正解できたはず。しかし、「語源海」(東京書籍)によると、著者の杉本つとむさんが学生に試問したところでは「かまくら」と読んだ者が少なくなかったそうです。雪洞の字面からはその連想の方が強く働くのでしょう。
さて、「あかりをつけましょ」の歌はサトウハチローの「うれしいひなまつり」の1番ですが、2番は「お内裏様とおひな様 二人ならんですまし顔」。この使い方は間違いだという話を聞いたことはありますか。「お内裏様」は男(お)びな、女(め)びな一対のものを指すのに、この歌は男びなだけという誤解に基づいた歌詞だと。その誤解が毎年流れることでさらに誤解を生んでいると。
確かに、どの辞書を見ても「お内裏様=内裏びな」は「天皇、皇后の姿に似せた男女ひとそろいのひな人形」などと書かれています。内裏びなを男びな限定とする定義は見つかりませんでした。それどころか、これは昨秋改訂されたばかりの「大辞泉」(小学館)の注釈ですが、「男性の人形のみを指して『内裏』『お内裏様』と呼ぶのは誤り」と明記する辞書もありました。
実は、この漢字クイズでも以前「内裏」の解説で「天皇の御殿のこと。天皇その人も表す。そして天皇をかたどったひな人形が『お内裏様』」と書いてしまいました。これは内裏→天皇→男びなという流れの文脈であり、サトウハチロー的な解釈でもよいのではないかと、出題当時軽く考えていました。しかしその後、大辞泉のように明確に「誤り」とする辞書も現れるに至り、安易にその解釈で書くのは軽率だったと反省しております。ただ、では男びなの丁寧な言い方は何でしょう。「男びな様」とはあまり言いませんよね。お内裏様の誤解が生まれる素地は、こんなところにあるのかもしれません。
「古今雛」「形代」「賦する」はいずれも日常的に使用する語ではないはずですが、正解率はなかなかのものでした。
最も数字の高かったのは「蛤」。常用漢字ではなくふだん片仮名で書かれることが多いのですが、回答者の皆さんには常識的だったようです。