読めますか? テーマは〈若者に贈る四字熟語〉です。
目次
得手勝手
答え
えてかって
(正解率 97%)わがままで自分勝手なこと。「得手」は「得意とすること」の意味もあるが、ここでは「勝手」を表す。成人式ではよく若者の傍若無人な振る舞いが話題になる。若い頃は時と場所をわきまえるのが不得手な人が多い。
(2014年01月14日)
選択肢と回答割合
えてかって | 97% |
とってかって | 0% |
とくしゅしょうしゅ | 3% |
意馬心猿
答え
いばしんえん
(正解率 71%)暴れる馬や騒ぐ猿を静かにさせることが難しいように、煩悩や欲情が抑えがたいこと。動物にたとえてはいるが「人間が煩悩だけで成り立っているとしたら、苦しむことはないだろう。煩悩からの解脱を願えばこそ、煩悩に苦しむのだ」(円満字二郎「太宰治の四字熟語辞典」)。
(2014年01月15日)
選択肢と回答割合
いばしんえん | 71% |
いましんえん | 28% |
いばしんざる | 1% |
知行合一
答え
ちこうごういつ
(正解率 28%)知識と行いは一体で、実行が伴わなければ真に知ったことにはならないという意味。中国の王陽明の説。言葉も、知るだけじゃなくて使わなければ。なお、知行(ちぎょう)は武士の領地などを意味する別語。
(2014年01月16日)
選択肢と回答割合
ちぎょうごういつ | 66% |
ちこうごういち | 6% |
ちこうごういつ | 28% |
四海兄弟
答え
しかいけいてい
(正解率 70%)世界の人々はみな兄弟のように仲良くすべきだという「論語」の言葉。この語だけでなく「人類はみな兄弟」も最近聞かない。四海は紛争の種ばかり。だからこそ若者には理想を追求してほしい。なお「兄」「弟」を「きょう」「だい」と読むのは奈良時代以前からある読みだが、実は珍しい例という。
(2014年01月17日)
選択肢と回答割合
しかいきょうだい | 28% |
しかいけいてい | 70% |
よつうみきょうだい | 2% |
◇結果とテーマの解説
(2014年01月26日)
この週は成人の日に合わせ「若者に贈る四字熟語」でしたが、特に若者に限った言葉ではありません。
「得手勝手」は成人式で傍若無人に振る舞う若者をイメージした出題で、確かに今年もそういう者がニュースに取り上げられましたが、ほんの一部だろうことは承知しています。分別あるべき年を食った中年だって、得手勝手な人は少なくありません。出題者もおじさんですが、「いまどきの若い者は」という偏見で選んだわけではないつもりです。
「意馬心猿」も若者に限りません。いくつになっても人間は煩悩や欲望から超然とはできませんよね。ただ、性欲は若者の方が強いのでは、と書こうとして頭にちらついたのは、最近週刊誌に多い中高年向けのセックスの記事と、それに対する「草食男子」という言葉。今や中高年の方が「意馬心猿」なのでしょうか。
「知行合一」は今回最も正解率が低くなりました。出題者がこの言葉を学んだのは確か高校の「倫理社会」だったと記憶しますが、世界史や日本史の授業でも「陽明学」の関連語として出てくるのではないでしょうか。それでも低くなったのは、たとえ学んだとしても忘れていることに加え、「ちぎょう」の方が難読語クイズとしてはありそうと読み違えた人が多かったせいと思われます。
タイミング的に驚いたのは「四海兄弟」です。日本漢字文化センターが2014年1月21日まで募集していた第1回「あなたが望む『今年の四字熟語』」の発表が23日あり、「四海兄弟」が選ばれたのです。これはやはり、隣国との関係がうまくいっていないという危機感を抱く人が多いことの表れでしょう。
ただし「四海兄弟」と意味が似た言葉に「八紘一宇(はっこういちう)」があることも思い出す必要があります。「世界は一家」という感じの意味ですが、大戦中の日本が使ったことはご存じの通りです。言葉には罪はありませんが、国家がスローガンとして使う場合、どんな美しい言葉も支配を隠すベールとして機能することもありうるのです。人も国家も、言葉に踊らされることなく、それぞれの立場を認識し尊重した上で仲良くしたいものです。
「四海は紛争の種ばかり。だからこそ若者には理想を追求してほしい」と出題時の解説に記しましたが、自分でも「若者だけに理想を押しつけてもなんだよなあ」と思わないでもありませんでした。ただ、最近の若者が「内向き」「保守的」といわれることもあり、あえて若者は若者らしく青臭くあってほしいという願いをこめました。もっとも「内向き」「保守的」という評価も「最近の若者は」といいたがる中年の偏見なのかもしれませんが……。
余談ですが、「ケロロ軍曹」という、アニメも長く続いた漫画には「てゆーか公序良俗?」などと四字熟語を唱えるのが口癖の女の子が出てきます。だからどうということはないのですが、話が少し重くなったので締めはほほえましくと思ったのであります。