読めますか? テーマは〈母〉です。
目次
母恋駅
答え
ぼこいえき
(正解率 26%)JR室蘭線の駅名。室蘭駅の隣駅。一説に、アイヌ語でホッキ貝の多く取れる所を意味するポクオイからの名という。ホッキ貝の入った駅弁「母恋めし」がある。毎年母の日の前に母の日記念乗車券を発売している。
(2014年05月07日)
選択肢と回答割合
ははこいえき | 39% |
ぼこいえき | 26% |
ぼれんえき | 35% |
焼け野の雉子
答え
やけののきぎす
(正解率 44%)「雉子」は「雉」とも書く。きぎすはキジの古語。キジの母親は火事のとき身の危険も顧みずひなを守ったという。「夜の鶴」と続き、寒い夜に翼でひなを温める鶴と並べ、子を思う親の愛を表す。「岩波ことわざ辞典」は事実に基づく表現とする。
(2014年05月08日)
選択肢と回答割合
やけののきぎす | 44% |
やけののきじこ | 52% |
やけののきざし | 4% |
麝香撫子
答え
じゃこうなでしこ
(正解率 87%)カーネーションの別名。他の別名に「阿蘭陀石竹(おらんだせきちく)」。麝香はジャコウジカの雄の下腹部から得られる香料。100年前の1914年、米政府は5月の第2日曜日を母の日に制定した。これより前の、亡き母をしのびカーネーションを教会で配った娘の行動が、母の日にカーネーションを贈る習慣へと発展した。
(2014年05月09日)
選択肢と回答割合
しゃがなでしこ | 8% |
じゃこうなでしこ | 87% |
ろっこうなでしこ | 5% |
◇結果とテーマの解説
(2014年05月18日)
この週は11日の「母の日」にちなみました。
出題者が小学生のころ、母の日に「お母さんに赤いカーネーションを贈りましょう。 お母さんのいない子は白いカーネーションを」という呼びかけがあり、母のいない子供の心を傷つけるものだと当時、問題になった記憶があります。確かに学校で児童に赤白別のカーネーションを配ったりするのは無神経ですが、白いカーネーションには歴史的ないわれがあることは知りませんでした。今から100年余り前、米国人のアンナ・ジャービスが亡き母の追悼にと白いカーネーションを配ったことが始まりだそうです。
カーネーションはナデシコ科。だから別名が「麝香撫子」。「万葉時代の撫子、平安時代の石竹、そして現代のカーネーション……。私たちは、切れ込みが入った花びらを持つ撫子の仲間に、なぜか心惹かれるようですね」(山下景子「花の日本語」幻冬舎文庫)。ナデシコの語源は、なでいつくしむ子供のようにかわいい花からということ。全くの偶然ですが、そのように育てられた子供が母にナデシコ科のカーネーションを贈るという返礼も、こうしてみるとすてきな習慣です。
「焼け野の雉子」は「雉子」が古語であることはもちろん、このことわざが知られていないことが難しさになっています。キジは国鳥であるだけに、ことわざや慣用句にも多くなっていますが、「キジも鳴かずば撃たれまい」に比べてこのことわざはあまり使われなかったがゆえに、古語のまま残ったかもしれません。「きぎす」のキギは鳴き声から。また、キジは巣のある野原が火事のとき身の危険を顧みずひなを助けるというのは「実話がいくつも報告されてきたので、事実に基づく表現であったと言える」(時田昌瑞「岩波ことわざ辞典」)ということです。ちょっと信じがたかったので他の資料を探しましたが、少なくとも否定する文章は見いだせませんでした。
「母恋駅」は今回最も正解率が低くなりました。これは北海道に多いアイヌ語の音訳地名です。所沢秀樹「駅名の『謎』」(山海堂)によれば、「内地では村名や町名が先で、駅名はあとからそれに従うといった関係がほとんどだが、ここ北海道においては、駅名が先にあって、村・町名があとからそれに従ったという例を、いくつも見ることができる。これも、開拓地ならではのエピソードといえよう」。 母恋駅に関しては駅の開業より前にこの地名があったようですのでその例に当てはまりませんが、北海道における駅の重要さがうかがえます。
しかし北海道では、次々と鉄道が廃線になり、今月11日の運行をもって江差線木古内―江差間が廃線となってしまいました。ああ、あの時乗っておけばよかった思う機会が出題者にはあったのですが。そういえば「幸福駅」が有名な旧国鉄広尾線の廃線時にもそういう後悔があったっけ。江差線廃線が決まってから多くの鉄道ファンでにぎわったそうですが、本当の鉄道ファンなら廃線が決まる前にこそ何度も足を運ぶべきでしょう。母恋駅には今のところ廃止の情報はないと思いますが、ここも乗降客は往時に比べ相当減っているそうです。いつまでもあると思うな母恋駅。