「厳冬期は屋外の気温がマイナス20度近くになる日もある北海道北見市」とのくだり。毎日新聞用語集では「氷点下」の項に「主として気象関係に」とあり、それに従い「氷点下20度」と直した。
0度以下の気温の表記について、気象庁の「天気予報等で用いる気温に関する用語」には「気象情報では『氷点下』を使用し、『マイナス9度』といった表現はしない」とある。
なお同義語として「零下」もあるが、共同通信の用語集は「物理・化学用語。気象関係では『零下15度』とはしない」としている。
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弁護士も弁護士会も十人十色
ある事件の記事で「接見した和歌山県弁護士会の弁護士」との記述。弁護士会の名称は「大阪弁護士会」「兵庫県弁護士会」など府・県が付くものと付かないものがあり、紛らわしい。和歌山は「県」なしの「和歌山弁護士会」が正解。
さらに「都道府県名プラス弁護士会」パターンではなく、神奈川県全域を所管する「横浜弁護士会」、石川県全域を所管する「金沢弁護士会」などの“引っかけ”もある。
ちなみに東京には東京、第一東京、第二東京の三つの弁護士会が存在する。
ダブり表現もいろいろ
「広島県廿日市市の酒造メーカー」とあったが「酒造会社」と直した。毎日新聞用語集では、製造メーカー→メーカーまたは製造業者に、製薬メーカー→製薬会社に、とある。メーカー=製造業者のことで、重複表現だ。
強盗事件の記事では、警察が行方を追う「男は身長約170㌢ほど」となっており、やはり「約」と「ほど」がダブり。簡潔さが求められる記事では、蛇足は見逃せない。
「微小」な悩みかもしれないけど
頭を悩ませる小・少の使い分け。まずは頻出の「過少評価」という間違い。過大↔過小、過多↔過少の関係性を考えれば「過小評価」と、ぴんとくるはず。
ある医学実験の記事で「2種類の微少なたんぱく質がくっついたり離れたりする様子」は「微小」に直した。X線ビームでその様子を観察したとあり、小さい物質なのだろう。
実際にあった変換ミス
×勢力的に活動する→○精力的
×起用さがある→○器用さ
×経験が抱負→○豊富
×慢性的な人出不足→○人手不足
×猫の泣き声→○猫の鳴き声(「泣く」は主に人に)
動物の気持ちが分かったとしたら、泣き声か鳴き声かを判断するのに迷いそうですね。
【松本允(ゆん)】