サッカーでゴールを決められた場合、「得点」と「失点」のどちらを使うか伺いました。
8割が「失点を許した」でなく「得点を許した」
サッカーで相手にゴールを決められた場合、どう言いますか? |
失点を許した 14.7% |
得点を許した 79.9% |
どちらでもよい 5.3% |
およそ8割の方が「得点を許した」を選び大差がつきました。やはりこの方が自然でしょうから、今後「失点を許した」を見かけた場合には「得点を許した」「失点した」などの言い換えを提案してみようと思います。
逆に得点を許さない場合、「相手を無失点に抑えた」といった言い方もしばしば登場します。文脈上誤解されることはほぼないでしょうが、これも「失点を許す」と同様ややねじれた表現に思えます。「無失点」は自分の側についての表現ですから、「相手を無得点に抑えた」とするか、単に「無失点で抑えた」などとする方が素直でしょう。
こうした表現の問題とは少し違いますが、試合展開を描写する記事では、どちらの側についての記述なのかを明確にしないと話が分からなくなってしまうこともあります。今回のサッカー・ワールドカップ決勝、フランス対クロアチアの記事では「フランス・グリーズマンのファウルを誘うドリブルがFKと判定され……」という原稿に担当者が反応し、「これだとフランスが反則をして相手のFKになったみたいでは?」。
実際にはクロアチアが反則を犯しフランスのFKになっていたため、「ドリブル<に対するプレー>がFKと判定され……」と補ってもらう、といったことがありました。きちんと試合を見ている記者は頭の中で試合の流れを理解しているため、逆に言葉足らずになってしまうのかもしれません。
(2018年07月24日)
相手のやりたいようにさせてしまうという意味で「〇〇を許す」という場合、素直に考えれば〇〇には相手の行為が入るでしょう。辞書を見ても「盗塁を許す」(広辞苑)、「わがままを許す」(大辞泉)などと、やはり相手側の行為について述べるものが例に挙がっています。
「失点」は自分たちの側についての表現なので、これを「許す」というのはややねじれた書き方である気がします。自分たちが失点するような状況を許してしまう、と解釈できないこともないのですが少々強引でしょうか。単に「失点した」と書けば十分でしょう。
ただし、毎日新聞の過去記事を見てみると「失点を許す」はかなりの使用例があり、今回のワールドカップの日本-コロンビア戦の記事でも、「(日本は)流れの中から失点を許さず、したたかに戦って勝利をつかんだ」とあります。もちろん「相手が失点することを許さなかった=相手の失点を防いだ」などと誤解される恐れは小さいでしょうし、違和感なく読めてしまうという人も多いでしょうか。
(2018年07月05日)