スポーツなどの勝負事で負けることはふつう、「敗れる」と書きますが、「破れる」と書かれていることが時々あります。勝つことは「破る」と書くため、混同しやすい面もあるかもしれません。
原稿の編集で、「AがBを破った」を「BがAに破れた」として、主語を勝った方から負けた方に入れ替えたはいいものの、「破った」の送り仮名だけ直して漢字はそのままにしてしまうということを、筆者はやったことがあります……。
ところで「国破れて山河在り」は杜甫の有名な漢詩の一節。2013年の政府式典の首相あいさつ文には「国、敗れ、まさしく山河だけが残った」とありました。以下の記事で触れています。
日本語の文法上、存在しえない久しぶりに文法の活用表を活用しました。終戦記念日、安倍晋三首相の式辞のおかげです。
「世界の恒久平和に、能(あた)うる限り貢献し、万人が、心豊かに暮らせる世を実現するよう、全力を尽くしてまいります」
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使い分け
やぶれる
破〔破壊、破棄〕
計画が破れる、事が破れる、秩序が破れる、平和が破れる、破れかぶれ、破れ紙、破れ目、夢が破れる
敗〔敗戦、敗北〕
試合に敗れる、人生に敗れる、選挙に敗れる、戦いに敗れる、敗れ去る、敗れて悔いなし