大阪の毎日文化センター(毎文)で2月8日、校閲の一日講座を行いました。題して「日本語力を磨く 校閲講座」。寒い日でしたが教室は約60人で満員。静かな熱気が満ちるなか、参加の皆さんには校閲を体験していただき、言葉について一緒に考える1時間半となりました。
毎文からの提案で動きだしたこの企画。私は講師を引き受けたものの「はたして需要はあるのか」と半信半疑で準備を始めました。毎文からの注文はシンプルなもので「楽しく学べる、役に立つ内容」の一点です。受講の動機がおそらくさまざまな参加者が、校閲を楽しく学び、しかもその後に生かせるようにするにはどうしたらよいか。考えた結果、講座の目標を次の2点に絞りました。
一字一句逃さないように線を引きながら読む。ローラー作戦のような読み方を体験する。
②言葉についての校閲的な視点を学ぶ
適切な言葉を選ぶとはどういうことか実例に即して考え、校閲的な視点を持つ。
①については、わざと誤りを盛り込んだフェイクのゲラ刷りを一人一人に配布し、実際に校閲にチャレンジしていただきました。誤りは12カ所。答え合わせをしながら、校閲独特の読み方や、見逃しやすいポイント、発生しやすい誤りなどについて解説しました。
②についてはまず、ニュース写真とそれについてのキャプション(説明)を複数例提示しました。例のなかには使い方に迷う言葉が盛り込んであります。どれが適切だと思うか皆さんに手を挙げていただき、言葉の意味を確認するという参加型クイズのようなコーナーです。さらに、短い原稿例をいくつか読んでもらいました。いずれにも校閲としては引っかかる一語が盛り込まれています。どうして引っかかるのか、どのようにすればより良くなるのかというお話をしました。
うなずきながら聞く方、熱心にメモをとる方、「これどう思われますか」と問いかけると即座に声を上げて答えてくれる方など皆さんの反応が良く、熱く楽しい雰囲気の1時間半となりました。質疑応答の時間がなくなってしまったため「講座後に質問を受け付けます」と言ったところ、20人ほども行列が!
ありがたいことです。一人一人にお答えしました。この質問タイムでの交流が私にとってもたいへん勉強になりました。分かったのは、社会のあらゆる場面で校閲の技術が必要とされているということです。翻訳の仕事、小説の執筆など文筆に関わる方はもちろん、管理職で文書のチェックをしなければならないという方、介護の報告書をまとめる仕事をされている方、所属する団体のために生まれて初めて機関紙を作り始めたという方もありました。また、ウェブの記事の編集・校閲をされている方、広告の校正者、フリーの校正者もいらっしゃり、同じ校閲者として悩みを分かち合いました。校閲に興味を持っているという高校生が参加してくれたこともうれしかったです。
生活のあらゆる場面、社会のあらゆる場面で校閲の技術と視点が必要とされているのであれば、さらに何かお役に立てることはないかと思案しているところです。
【沢村斉美】
8月オンライン講座の感想ツイートから
参加者170人くらいいたけど、講師の方との距離はとても近く感じられた。きっと会場に集まってたら得られない感覚。また、講義中心ではあるけれど、ライブで直接話かけてくれる感じも楽しくて、情報移転なんだから反転動画にしてしまえとは思わなかった。ライブで話を聴くことの価値。#校閲講座
— あひる食堂🏳️🌈その授業、IDで変わります。 (@ahiru5963) August 30, 2020
毎日文化センター大阪@maibunosaka さんの校閲講座終了。とても勉強になり楽しかった!オンラインでの開催、本当にありがたい。。。次回あれば、また受講したい♪#校閲講座
— かのこ (@love_anco) August 30, 2020
校閲講座めっちゃ勉強になったなぁ〜
改めて、校閲者さん凄いと思った。そして、校閲の読み方難しい〜とりあえず、恥ずかしながら記者ハンドブック持ってなかったので買いに行こう!
— イシカワさん@WEB編集者/ライター (@WEB_editor3) August 30, 2020
こちらの校閲オンライン講座を受講しました📝
新聞紙面を模したダミー記事を使って、実際に校閲してみる時間が特に勉強になりました。
今、初めて編集のお仕事をしていることもあり、受講して良かったです。 https://t.co/VMx33uAOXv— ヒトミ⭐クバーナ@海外×社会×ライター (@hitomicubana) August 30, 2020
実際にゲラを見ながら校閲やってみたけど、まあ半分強しか見つけられない💦いくつかやってる内に、注意すべきポイントが分かってくるので、記号抜けとかはシステマティックにやりつつ、音読を入れてみたり、すると、だいぶ精度が上がることに気づいたり。
大人の職業体験みたいで楽しかった😊— こなもん (@kono_obakasan) August 30, 2020
毎日文化センターのオンライン校閲講座、午後の部にて受講。しっかり見てるつもりでも見落としあるある。なんやったら先生が「よく間違えるところ」と言われたところをバッチリ見落としてたりとかして…。プロのすごさを思い知りました。面白かったです。
— 油井やすこ@関西ライター (@aburaisan) August 30, 2020
毎日文化センターのオンライン校閲講座に参加。教材も事前送付で、先生のお話はクリアでわかりやすいし画面共有も見やすくて、広い教室で遠くからスクリーン眺めるよりむしろいいのではと思った。
チャットでの質問やりとりを見逃してしまったからログを見返せたらいいな…— 鳶井 (@tobimas106) August 30, 2020
毎日文化センターの校閲講座、もともと対面講座だった模様。
でもコロナ禍でオンライン講座に切り替え。対面のままだったら、こんな言葉の勉強の機会に恵まれなかったな。ありがたいものだ。#校閲講座#毎日新聞
— 鈴木まゆ子 税理士・税務ライター (@mayu_suzu8) August 30, 2020
日曜日に参加した毎日新聞の校閲講座おもしろかった。前から校閲部のTwitterがすごく好きで、その考え方にしっくりきた。でも講座に参加しようとしたらコロナ襲来。個人的にはオンラインでよかった。見やすかった。超理系だけど、理系は実はこういうのはまる。終了後ノートにまとめるのも楽しかった📒
— microcub (@microcub) September 3, 2020
あっという間の2時間でした。「校閲の領域」を大切にして、これからも原稿と向き合っていきたいと思います。
受講中に感じた不明点もチャットですぐに回答頂き、スッキリしました。ありがとうございました。 https://t.co/49yvUFANGp
— ナルミ (@yo_narumi) August 31, 2020
オンラインだからこそ参加することができました!ありがとうございました。
執筆者とも編集者とも違う「校閲の読み方」とても参考になりました。ぜひまた続編などもご検討いただけるとありがたいです。 https://t.co/EexvGm9Oni
— 静 (@sshizu_) August 31, 2020
今、別ジャンル(小説外)のお手伝いをしていることもあって、こちらの校閲講座を思い切って受けてみました。
誤字脱字探すの得意なほうだと思っていましたが、全然そんなことなかった……。小説の校正と新聞校閲ってまるで違う。大変勉強になりました。https://t.co/aJQIf34Rim— 和泉桂 (@izumi_k) August 31, 2020