書きたかった意味はなんとなく分かるものの、どこかしっくりこない言葉遣い。
校閲者の言語感覚が違和感を訴えた「微妙に違う言葉」をいくつかご紹介します。
誰もが引っかかるところではないかもしれませんが……あなたも気になりますか?
目次
白は「原色」か
「桃色、青、白の原色」とありますが、「原色」はいわゆる三原色(赤、青、黄)ないし、どぎつい色を指す言葉。
「白」もはっきりした色ですが、どちらにも当てはまらないので「原色」とはいえないでしょう。
不安の中で休眠を
「不安の中で休眠をとる」。ここでは「休んで眠ること」といった意味合いで書かれたのでしょう。
しかし一般的に「休眠」は、冬眠など「動植物が、ある期間ほとんど活動をやめること」(三省堂国語辞典)や「休眠状態の工場」「休眠口座」というような場合に使う言葉。ここは「休息」でよいだろう、ということになりました。
「慰み」と「慰め」
同情を禁じ得ない話が語られていますが、最後の「せめてもの慰み」はちょっと変な気がします。
辞書を引いてみると
なぐさみ【慰み】〔動詞「なぐさむ」の連用形から〕①心を楽しませること。また、その手段。気晴らし。うさばらし。たのしみ。 「 -に小鳥を飼う」 「何の-もない毎日」 「うまくいったらお-」(②以下略)
「慰み」は少し軽い感じがする言葉です。ここは「慰め」の方が適切でしょう。
なぐさめ【慰め】なぐさめること。また、その手段となるもの。 「 -の言葉もない」 「歌は心の-」 「家族が無事だったのがせめてもの-だ」
(引用はいずれも大辞林)
気にせず読む人もいるかもしれません。それでも、より正確な言葉遣いを目指し、感覚を研ぎすませて細部まで目を配っています。