名駅(めいえき)は中村区と西区にまたがっている--。そんな情報を得て夏休みに名古屋市まで行ってきました。「名駅」とは名古屋駅の略称で、毎日新聞中部本社もある名古屋駅周辺の町名です。中部本社の名駅は中村区ですが、同じ名駅という町名が西区にもあるなんて!
中村区名駅は1~5丁目、西区名駅は1~3丁目で構成されています。実際に現地で中村区、西区それぞれの街区表示板を見てみました=写真。もし「名駅2丁目」と書かれているだけだったら、それが中村区なのか、それとも西区なのか区別できないでしょう。上方の○○区という表示や区章、下についている地図は迷わないための配慮なのだと思います。
なぜこのようなことが起きているのでしょうか。「住所と地名の大研究」(今尾恵介著、新潮社)は、「有名な名古屋の都市計画の一環で広い道路が縦横に走る整然たる街区が出来上がったにもかかわらず、区境だけは昔のままの複雑な境界線が据え置かれたために起こったものだ」と述べています。「なごやの町名」(名古屋市計画局発行)によれば西区は1908年、中村区は37年にできました。77~81年に都市計画により広い道路で区切られた名駅という新しい町ができましたが、古い区の線引きは変わらないので、町が中村区と西区に分かれる形になったということでしょうか。
しかし、この先ずっと、記事の中で「名駅」が出てくるたびに「これは本当に中村区なのか? 西区なのか?」とドキドキすることが多くなるでしょう。時間と手段の許す限り、地図などを使いながら確認していきたいと思います。名古屋市にはこのように、二つの区にまたがる町がまだまだたくさんあります。また実際に見に行きたいものです。
【渡辺みなみ】