読めますか? テーマは〈連休明けの気分〉です。
目次
欠
答え
あくび
(正解率 73%)「欠伸」とも書く。大型連休も終わり、あくびが出る人も多かろう。なお「次」「欧」「欲」などのつくり「欠」は「あくび」という名の部首である。
(2013年05月07日)
選択肢と回答割合
あくび | 73% |
あな | 7% |
うつけ | 20% |
長嘆息
答え
ちょうたんそく
(正解率 70%)長いため息をついて嘆くこと。「長歎息」とも書く。「長嘆」も同じ意味。頻繁にため息をつき過ぎる人は五月病を疑った方がいいかもしれない。なお「ため息をつく」の「つく」は漢字にすると「吐く」なので、たまに見かける「付く」は誤り。
(2013年05月08日)
選択肢と回答割合
ちょうたんそく | 70% |
ながためいき | 17% |
ながたんそく | 14% |
気骨が折れる
答え
きぼねがおれる
(正解率 36%)気を使いすぎて疲れること。気骨は「きこつ」とも読むが、その場合は「強い意志」を意味し「気骨のある人」などと使う。
(2013年05月09日)
選択肢と回答割合
きこつがおれる | 57% |
きぼねがおれる | 36% |
けぼねがおれる | 7% |
憮然
答え
ぶぜん
(正解率 95%)「失意や驚きなどからぼんやりすること」が本来の意味。映画「舟を編む」で「憮然とした顔してみて」と言われた辞書編集部員は一人(オダギリジョー)が仏頂面、一人(松田龍平)がほうけたような表情をする。後者が本来の解釈だが、むっとした表情とする「誤用」が広がっている。文化庁調査では7割が「腹を立てている様子」と答えた。
(2013年05月10日)
選択肢と回答割合
しょうぜん | 5% |
はいぜん | 0% |
ぶぜん | 95% |
◇結果とテーマの解説
(2013年05月19日)
この週のテーマは「連休明けの気分」でした。
出題者は常々「簡単な字の方が読みにくい場合が多い」と考えていますが、今回の結果は如実にそれを表していると思います。今回の漢字の中で常用漢字でないのは「憮然」の「憮」のみ。それが最も高い正解率95%であり、逆に漢字・読みとも常用漢字内の「気骨が折れる」が最低の36%です。
「気骨が折れる」はルビが振られることがほとんどありませんので、間違えて覚えている方も多いのでは。いや、そもそもこういう表現を聞いたことがないので覚えようがないという人の方が多いかもしれません。出題者も数年前に初めて知って、少しぶぜんとしました。この「ぶぜん」は怒っているのではなく本来の「ぼうぜん」と同じ意味ですよ、念のため。わざわざ断ったのは、「ぶぜん」が使われる原稿を見るたびに校閲としては「これは本来の意味なのか」と疑ってしまうのから。かといって対象者の微妙な心理について確認するのも正直言って気骨が折れます。
閑話休題。差はわずかですが、「欠(あくび)」より「長嘆息」の方が正解率が低いというのも面白いと思いました。「欠(あくび)」は、常用漢字表の音訓にはないし、一般社会でもあまり用いられることのない特殊な読みのはずなのに、普通に音読みを重ねればよい「長嘆息」の方が読みにくいという結果。まあ、「あくび」はテーマ「連休明けの気分」と選択肢から当て推量は容易だったかもしれませんが。
ただ、「欠」の部首名が「あくび」ということ(「けんづくり」ともいいます)は、さほど知られていないのではないでしょうか。そう勝手に判断し「部首のはなし2」(阿辻哲次著、中公新書)から引用します。
「『欠』の音読みはケンで、人が口を大きくあけているさまをかたどり、もともとは『あくびをする』という意味を表す漢字だった。『あくび』を漢字では『欠伸』と書くが、それは『欠』の本来の意味を使った数少ない用例である」「《欠》部には、口を開閉する漢字が集められている」「『次』は口をあけて嘆くこと、『欧』は口をあけてものを吐くこと、『欲』は口を開いてものをほしがるさま、『歓』は声を出してよろこぶこと」などとあり、「歌」も挙げられます。なるほどー。
引用の最初のところ、「欠」の音読みは「ケツ」では?と思われた方はいませんか。いえ、現在「欠席」などで使うケツは本来「缺」でした。ただ、欠も「欠ける」という意味の字として通用していたので、当用漢字(現常用漢字)でも「欠=ケツ」となったのです。が、元々はケンが音読みですので、「欠伸」を音読みにすると「けんしん」です。意味は「あくびをして背伸びをすること」。そうだったのか(出題者いま知る)。
はあああ、知らないことが多すぎて長嘆息です。