この文章をお読みになっている方は、「SNS」を利用している人が多いのではないでしょうか。フェイスブックやインスタグラムのような、アプリやブラウザーから情報を発信したり受け取ったりするネット上のスペースや、それを提供するサービスのことですね。ツイッターやLINE(ライン)を含めることもあります。毎日新聞では、「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)」と表記することにしています。
毎日新聞の用語集では、主な外国語の略語について、どう表記するかを決めています。たとえば磁気共鳴画像化装置(MRI)や自由貿易協定(FTA)など、日本語訳を併記していることが多いようです。SNSについては「科学・情報技術関連用語」の欄に、簡単な解説を付けて記載されています。
さてこの「ソーシャル・ネットワーキング・サービス」。SNSを利用していない読者にとって、どんなものか想像する一助になっているのか?と、疑問に思うようになりました。Social Networking Serviceという英語をカタカナでそのまま表記するだけでは、意味がないのではないか、と。
他社の用語集を見てみても、多くはソーシャル・ネットワーキング・サービスとしており、ちょうどよい日本語訳はやはり難しいのかしらと思っていたところ、共同通信の記者ハンドブックでは「会員制交流サイト」としていました。同僚との話では、ソーシャル・ネットワーキング・サービスと書くよりはこちらの方が分かりやすいのでは?との意見が出ました。ただ、共同通信のハンドブックでは、略する前の形を「Social Networking Site」としています。最後を「Service」としている毎日新聞を含む他社とは、ニュアンスが違う感じもします。
多くの方がSNSを利用し、上記のような説明なしでも理解できる人が増えているとは思いますが、多様な読者がいることを考えると、SNSを説明なしで紙面に載せることには少し抵抗を感じます。
今のところ、小紙ではSNSの表記を変えるという話は出てきてはいませんが、分かりやすい紙面づくりのために、どうしたらよいか考える余地はありそうです。
【大熊萌香】