現在は三ノ輪橋-早稲田間を走る荒川線が唯一残る「都電」ですが、最盛期には「年間200万人近く」が利用したとか。ん、「年間」で200万人? すると1日あたり5000人くらいになります。当時の東京の人口に対してこれは妥当な数字でしょうか?
東京都の人口統計課がまとめた人口の動きにある推移表によると、東京の推計人口は1940年で約735万人。その後も730万人前後で推移し、45年には戦時中の疎開などの影響で約348万人まで減少しましたが、47年に500万人台、50年に600万人台、52年に700万人台まで回復しました。これは都電が走っていない地域も含めた東京全体の人口ですが、数百万人が住んでいた東京で1日に5000人しか都電を利用していないとは考えにくいでしょう。
もっとも一番の根拠としては、東京都交通局のサイトに「最盛期の昭和18(1943)年度には、一日平均193万人ものお客様が利用」したとあったので、これらを基に筆者に問い合わせて「1日200万人近く」と直りました。
こうした一見字面に問題がなさそうな数字の誤りは、疑問に思う「感覚」も大事になってきます。次のように「桁」や「単位」を間違えると大変なことになってしまいます。