「高見え」という言い方について伺いました。
目次
4分の3は「正解」
「高見え」といったら、どういうことでしょうか? |
高いところから、周囲がよく見えること 5.8% |
実際の値段よりも高そうに見えること 75.5% |
背が高そうに見えること 1.1% |
分からない 17.6% |
「高見え」の意味は「実際の値段よりも高そうに見えること」だとした人が4分の3を占めました。意外に意味の分かる人が多いという印象を受けました。近年になって使われるようになった言い方ですが、浸透は進んでいるようです。
ファッション記事で多用
一般の国語辞典では、2022年発行の「三省堂国語辞典」(8版)が「見え」の項目で「高見え」のような使い方を紹介しています。
みえ【見え】(中略)[造]見えること。「まる見え」[!]ファッション記事などで、「高見え〔=実際の値段よりも高く見えること〕・大人見え〔=大人に見えること〕」などと多用される。
「多用される」と言い切るところに、新しい言葉・用法の採録に積極的な三国の面目を見る気がします。ちなみに2014年の7版で既に「高見え」は俗用としてですが用例に採録されています。
本当は高くないけれど、それでいい
毎日新聞での「高見え」の用例は2019年に1件のみ。それも雑誌記事を紹介する「上質高見え服」という文言ですから、新聞記事に出てくるような言い方ではないというのは確かです。
もっともこれが「若見え」だと読者の投稿記事などでそれなりに現れます。年配の人が使っている例が多く、「若く見えること」という意味はすんなり受け取れるもののようです。逆の意味では「老け見え」も見られました。
これらの言葉が面白いのは、あくまでそう「見える」だけで、本当はそうではない、ということを語の中に含んでいるところです。「高見え」には「本当は高くないけど、高そうに見えるクオリティーなんだから、それでいいでしょう?」というニュアンスがあり、無理に肩肘張る必要はないという意識を表していると受け止められます。
アンケートの結果は「正解」が4分の3と多数を占めましたが、他の選択肢があまりよくなかったのか、という反省があります。「細見え」は「体形が細く見える」なのだから、「高見え」は「背が高く見える」でもよいのではないかと思いましたが、選んだ人は僅か1%。ちょっと出題者のセンスに問題があったかもしれません。
(2023年03月23日)
「高見え」は「実際は廉価だが、一見すると高価に見える物」(デジタル大辞泉)と説明されます。もっとも、「~見える(こと)」ぐらいの使い方が多いかもしれません。主にファッション誌や広告などで見かけます。低値段(プチプライス)を意味する「プチプラ」の商品と関連して使われることが多いようです。▲「高見えコーデ」のように他の名詞と組み合わされたり、「高見えする」のようにサ変動詞の形で使われることもあります。本当は低価格なので気軽に買えるけれど、安っぽくなく印象が良い――といったニュアンスでしょうか。▲「~見え」という言葉で紙の辞書に載っているのは「丸見え」ぐらいなのですが、カジュアルな用法としては「若見え」(若く見えること)、「細見え」(細く見える、痩せて見えること)のようなものも見かけます。……などともっともらしく説明してきましたが、実は出題者は先ごろ家人に教わるまで、この「高見え」の語を知りませんでした。皆さんはいかがでしょうか。
(2023年03月06日)