読めますか? テーマは〈眠り〉です。
目次
佞武多
ねぶた
(正解率 68%)青森県を中心に8月に行われる祭り。佞武多は当て字。「眠た」つまり睡魔を払うことからきたという。2~7日の青森市「青森ねぶた祭」、1~7日の弘前市「弘前ねぷたまつり」、4~8日の五所川原市「五所川原立佞武多(たちねぷた)祭り」と表記が異なる。武者絵などの巨大な灯籠(とうろう)が運行する。
(2016年08月01日)
選択肢と回答割合
まぶた | 23% |
ねぶた | 68% |
ねむた | 9% |
含羞草
おじぎそう
(正解率 64%)「がんしゅうそう」とも。葉に触れると閉じておじぎをするように垂れることからの名。夜にも葉を閉じ眠るように見えることから「ネムリグサ」の別名がある。
(2016年08月02日)
選択肢と回答割合
おじぎそう | 64% |
はじらいそう | 14% |
はにかみそう | 23% |
合歓の木
ねむのき
(正解率 91%)「ねぶのき」などとも読む。夏に薄赤い糸を束ねたような花を咲かせる。葉が夜に閉じるので「眠りの木」から「ねむのき」になった。合歓の字は葉が合わさるのを結婚に見立てたとされる。
(2016年08月03日)
選択肢と回答割合
ねむのき | 91% |
ねずのき | 6% |
ごうこんのき | 3% |
展転反側
てんてんはんそく
(正解率 90%)「輾転反側」とも書く。悩みなどのため眠れず寝返りを何度も打つこと。「輾」は転がることだが「展」にも転がるという意がある。「転々」は誤字。
(2016年08月04日)
選択肢と回答割合
てんてんはんそく | 90% |
てんてんそりがわ | 6% |
てんてんはんがわ | 4% |
枕頭
ちんとう
(正解率 67%)まくらもと。「枕頭の書」は寝床に持ち込む愛読書のこと。寝苦しい夜はあえて難しい本に挑戦するチャンスだ。寝床でスマートフォンなどの端末を見るより早く眠くなるに違いない。
(2016年08月05日)
選択肢と回答割合
ちんとう | 67% |
じんとう | 16% |
まくらず | 17% |
◇結果とテーマの解説
(2016年08月14日)
この週は「眠り」。
眠気は仕事の大敵。それはデスクワークに限らず農作業も同じだったようです。
ねぶたの語意は睡魔のことで、青森県のねぶた流しの歌に「ねぶた流れろ、まめの葉はとどまれ」とあったり、秋田県でネブリナガシと呼んでいるように、元来この行事は本格的な秋の農作業に向けてまめに働けるように、労働の妨げをなす眠気を流し去ろうとする心意に発したものかという。
「三省堂年中行事事典」
佞武多の字は主に青森県五所川原市の「たちねぷた」に使われます。佞の字は口がうまくて取り入る「佞臣」などで知られ、いい意味はありません。本来の意味のない当て字としても、どうしてこんな字がと思いましたが、悪いものを「流す」と考えればいいのでしょう。それはともかく「倭」などの誤字や、「ねぷた」(青森市)と「ねぶた」(弘前市)の混同も流し去りたいものです。
「合歓の木」は「ねぶた」とも「眠り」を介して関係があります。「三省堂年中行事事典」の「ねぶた」によると、7月7日にネムナガシ・ネムタナガシなどと呼んで「人形を川に流したり、合歓の木の小枝などで身体をこすって川に流し去る所が東北地方以外にも少なくない」そうです。なお、中国で「合歓木」は男女和合の象徴とされる木で、数年前に話題になった中国ドラマ「宮廷の諍い女」に小道具として使われていました。
ネムリグサの別名がある「含羞草」は今回最も正解率が低くなりました。漢語として「がんしゅうそう」と読んでも間違いではありません。含羞は一般に花に関して漢詩で使われていて、「花が蕾(つぼみ)を開かない状態を女性がはにかんで笑顔を見せない姿に喩(たと)える。オジギソウが葉を閉じる姿を含羞の姿態と捉えて、含羞草の名がうまれた」と加納喜光「植物の漢字語源辞典」(東京堂出版)にあります。
「展転反側」という四字熟語は手持ちのパソコンでは「輾転反側」しか変換候補に出てきません。毎日新聞の規定では、輾は常用漢字でないことから「輾転反側→展転反側」となっていますが、寝返りの意味と「展」の字は一見、懸け離れるような気がします。しかし円満字二郎著「漢字ときあかし辞典」によると、「展」は
本来は“転がる”ことを表す漢字。「展転」とは、“転がる”ことや“寝返りをうつ”こと。そこから“巻物を転がして見る”というイメージをはさむと、“見えるように並べる”“折りたたまれているものを開く”“次々に何かが起こる”などの意味への変化が、理解しやすいように思われる
とのこと。漢字のイメージ展開力に驚かされます。
「枕頭」の出題時にも似たようなことを書きましたが、眠れない夜は厚めの辞書を眺めるというのはどうでしょう。たとえば「大辞林」で「ちん」の項を追うと「枕籍(ちんせき)」なんて語に出合います。①は「枕席」と同じ意味で、「枕席に侍(はべ)る」は「女性が男性と同じ寝床で寝る」こと。②の意味は「書物を積み重ねて枕にすること」とあります。つまり「枕頭の書」が文字通り枕になることを指す言葉があるわけ。無駄な知識ですが、こんな言葉を拾い読みしていくうちに自然と眠くなって辞書を枕に眠りに就くことになるのではないでしょうか。
ではしっかり睡眠と水分を取って猛暑を乗り切りましょう。