重言を見つけるのは、誤字脱字やデータの間違いを見つけるのとはまた違った面白さがあります。
これは重言のような気がするが考えすぎだろうかとか、許容範囲だろうかなどと考えながら校閲しています。
目次
票読み予想
日銀の金融政策決定会合で多数決の「票読み予想」。
「票読み」とは「①票の数を数えること②選挙などで、得票数の予想を立てること」(大辞泉)で、この記事は②の意味で使っています。「読む」に「隠された意味や将来などを推察する」(大辞泉)という意味があるんですね。だから、後ろに「予想」と付けてしまうと、重言になります。
そういえば「金融政策を占う票読み」も重言っぽいような……。これは「票読み」という言葉を「金融政策を占う」で説明していると考えればいいでしょうか。重言のことを考えると疑心暗鬼になってきます。あっ、大辞泉の「数を数える」も……、いやいやこちらも考えすぎでしょう。
初デビュー
地域の伝統芸能で小学1年生が「初デビュー」。「デビュー」とは「新人が初めて登場すること」(大辞泉)なので、「初」は不要です。
片仮名の外来語に同じ意味の漢字を重ねてしまうのはよくあるパターンです。
生ライブ
同じく片仮名系重言で、「ミニ生ライブが行われた」。「ライブ」は「生(なま)の、実況の、の意」(大辞泉)なので、「生」は要りません。
片仮名だけだと意味がぼんやりするような気がして、漢字を付け足してしまうのでしょうか。私は英語が得意ではないので、なんとなくわかります。
ほんのわずかに微調整
これは重言というか、やりすぎ。野球の記事で「九回の第5打席では、ほんのわずかに打つポイントを前に微調整した」。ものすごくわずかな感じが伝わってきますが、新聞では字数の制約があり、冗長に書くと他の大事な部分が面に入らなくなってしまいます。これは「わずかに打つポイントを前に調整した」と直しました。
ニュースサイトの記事などで文字数の縛りが緩く、文を削って短くする必要がない場合、要らない表現が増えてしまうことがあります。読みにくく、読者に不親切になってはいませんか。簡潔に、伝わりやすい文を書くことを心がけたいと思います。
【渡辺みなみ】