読めますか? テーマは〈年始〉です。
目次
去年今年
こぞことし
(正解率 47%)古い年が去り新しい年が来たことを表す季語。高浜虚子の句「去年今年貫く棒の如(ごと)きもの」は有名だ。
(2017年01月03日)
選択肢と回答割合
こぞことし | 47% |
ゆくとしくるとし | 28% |
おちこち | 25% |
鶏旦
けいたん
(正解率 87%)鶏が鳴く朝ということから夜明けを指す。または元旦のこと。昔の中国では毎年正月1日を鶏の日とし、戸口に鶏の絵を張って魔よけとしたそうだ。元旦を鶏旦というのはその名残という。旦の字は地平線から日が昇ることを表す。
(2017年01月04日)
選択肢と回答割合
けいたん | 87% |
とりだん | 2% |
ぴーたん | 11% |
卯酉
ぼうゆう
(正解率 30%)東と西。卯は東、酉は西を表す。そういえば酉と西の字は似ている。子午線と直角に交わる大円のことは「卯酉線」という。
(2017年01月05日)
選択肢と回答割合
らんしゅ | 7% |
ぼうゆう | 30% |
うとり | 63% |
鳥総松
とぶさまつ
(正解率 32%)門松を取った跡の穴にその松のこずえを立てておくもの。新年の季語。松を取る日は場所によって異なり、東京で6日夕、信州は7日、関西で14日などとされる。
(2017年01月06日)
選択肢と回答割合
とぶさまつ | 32% |
とりおどしまつ | 14% |
とさかまつ | 55% |
◇結果とテーマの解説
(2017年01月15日)
この週は「年始」でした。
「去年今年」は、去年から今年の毎日新聞にも複数引用されたように、高浜虚子の「去年今年貫く棒の如きもの」が年末年始の定番句です。しかしこの句は「棒」が何をさすのかよく分かりません。俳人でもある国文学者、復本一郎さんも「日本人が大切にしてきた季節の言葉」(青春出版社)でこう記しています。
この句の意味、特に「貫く棒の如きもの」の比喩の部分、いま一つはっきりしないのですが、そこがまた関心を呼ぶのかもしれません。発表されたのは、昭和二十六年(一九五一)です。
ところが「去年今年」という言葉、ずっと昔からあるのです。一般的な意味では、文字通り去年と今年、ここ一、二年ということで用いられます。『源氏物語』にも見えます。
「鶏旦」も新年の季語ですが、あまり句の例は見当たりません。代わりに2016年の毎日新聞コラム「余録」に出てきました。
この「旦」が常用漢字になったのは2010年で、まだ10年もたっていません。それ以前、新聞ではよく「元旦」を「元日」に書き換えていたのですが、単に常用漢字ではないからというより、旦は朝のことだから、1月1日自体に使うのは誤りという認識からきています。常用漢字になって堂々とルビなしで使えるようになっても、元日と同じ意味ではないということは押さえておきたいものです。
「卯酉」はこの週で最も正解率が低くなりました。常用漢字ではなくても十二支の漢字として、卯も酉もよく使いますが、音読みはとても難しいことがこの結果に表れています。なお「卵酒と空目した」というツイートがありました。「卵酒」は冬の季語です。卵は鶏卵だし「酉」の字は本来「酒」との関係が深いので、この「空目」も酉年のはじまりにはふさわしいと思いました。
「鳥総松」も歳時記に出てきます。「鳥総」とは「大辞林」によると「梢(こずえ)や枝葉の茂った先。昔、木こりが木を切ったあとに山の神にその梢や枝を折って立てておく風習があった。今も、門松を取り払った跡に小枝を挿す習慣が残る」。しかし門松も立てない家が増えた現代ではまず見かけません。
なお、「暮らしのことば語源辞典」(講談社)に従って「鶏」の語源を記すと「ニハツトリ」つまり「庭にいる鳥」の意味です。昔は「カケ」ともいって、これは鳴き声に基づく名。一方、藤堂明保「漢字の話」では「鶏」の左部分は「ケーケーという鳴き声を表した」と推測しています。英語のcockも恐らく鳴き声からでしょう。世界的に鳴き声の共通項があるわけです。
「分断」などの声が渦巻く年明けですが、世界には共通のことだってたくさんあるはず。ニワトリがその象徴になってくれればいいですね。