サッカーの試合に関する表現で「進入」と「侵入」のどちらを選ぶか伺いました。
ペナルティーエリアに「進入」が過半数、「侵入」も3割
サッカーでFWがペナルティーエリアに「しんにゅう」……どう書きますか? |
侵入 30.2% |
進入 53.2% |
上の二つを使い分ける 16.6% |
単に「進み入る」という意味の「進入」が過半数を占めましたが、「不法に押し入る」という「侵入」も3割。「侵入」を選んだ人は、多少強引に入り込むような場面や、相手の裏をかくようなケースを想定しているのかもしれない、とも感じました。
確かにサッカーでペナルティーエリアに入ることはルールで禁じられているわけではありません。その意味で「不法」ということはなく、「進入」に分がありそうに思えます。
しかし一方で、FWがあえてペナルティーエリアに入るというのは、大概は相手を脅かす意図を持ってのことでしょう。文化庁の「言葉に関する問答集4」(1978年)は「侵入」「進入」などの使い分けを取り上げた一節で、「進入」について「相手を特に困らせたり、被害を与えたりするわけではない場合に使うのが普通」と説明します。してみると相手方を脅かすFWは、「困らせたり、被害を与えたり」しようとしているわけで、無条件に「進入」でOK、とは言いにくい感じもしてきます。
毎日新聞の記事データベースで過去約30年分の記事(東京本社版。地方版除く)を検索してみると、「ペナルティーエリアに進入」「~内に進入」が計30件、「~に侵入」「~内に侵入」が計3件と、はっきり差が付きました。新聞での使用実態としては「進入」が選ばれています。
アンケートの結果とあわせ考えると、まずは「進入」を使うのが一般的と言えるでしょう。ただし、その「しんにゅう」によって、自分のチームが痛い目に遭わされたような場合には、「侵入」を使うことも排除されないだろうと考えられます。
(2018年07月20日)
サッカー・ワールドカップも佳境を迎えているところで、今回もサッカー絡みのお題です。
「進入」と「侵入」の使い分けは、通常はそれほど難しくありません。禁じられたり閉ざされたりしていない場所に、普通に進み入るのが「進入」。入ってはならない場所に不法に押し入る、ないしは忍び入るのが「侵入」です。
サッカーであれば、ペナルティーエリアといっても入ること自体が禁じられているわけではありません。よって「進入」とすべきところと考えられるのですが、一般的には「侵入」も用いられているようです。
あるいは味方が敵陣に入る場合は「進入」で、敵方に入られる場合には「侵入」というような使い分けもあり得るでしょうか。
(2018年07月02日)