読めますか? テーマは〈中元〉です。
目次
水引
みずひき
(正解率 92%)贈り物の包みにかける紙ひも。一説に、こよりに水のりを引き、固めたことからの名という。お中元では主に紅白のちょう結びにする。
(2017年07月10日)
選択肢と回答割合
みずいん | 1% |
みずひき | 92% |
みなびき | 7% |
熨斗
のし
(正解率 84%)色紙を細長い六角形に折った飾り物。元はアワビをのばしたものを入れた。現代で贈答品に付ける紙には、図案化された熨斗と水引が印刷されている。これは「熨斗紙」といい正確には熨斗そのものではない。
(2017年07月12日)
選択肢と回答割合
のし | 84% |
ろうと | 14% |
のり | 2% |
盆供
ぼんく
(正解率 80%)お盆の供養または供え物。亡くなった人に向け初盆に親類らがそうめんなどを供えた。今では普段世話になっている人への感謝を込めてお中元を贈るが、その中心が食料品であることは盆供の名残という。
(2017年07月14日)
選択肢と回答割合
ぼんきょう | 18% |
ぼんく | 80% |
ぼんとも | 3% |
◇結果とテーマの解説
(2017年07月23日)
この週は「中元」。この言葉は中国の道教由来で「上元」「下元」もあるのですが、日本では7月15日の中元のみが使われるようになっています。
by kontenten
7月15日が盂蘭盆(うらぼん)の時期と一致することから、混同されて仏様にそうめんなどの供え物をするようになったとのこと。さらには世話になっている人への贈り物をする風習に転じたわけです。 だからお中元は「現在では七月の初めから一五日にかけて、世話になった人などに贈る」(大辞林)などと多くの辞書にもあるのですが、これは関東のしきたり。関西以西では8月半ばまでOKとされていて、7月と限定する辞書は関東中心の立場ということがうかがえます。
なぜ地域差があるか、お分かりの方も多いでしょうが、お盆の行事がいつかということが関係します。関西など8月に行う所はお中元もその時期までに贈ればいいということです。 ここで注意したいのは、8月の盆のことを「旧盆」といっていいか。旧盆というのは旧暦の盆のこと。今年は旧暦で7月15日に当たるのは9月5日なので、8月半ばのことを「旧盆」というと間違いです。「月遅れ盆」か単なる「お盆」と呼ぶのがよいでしょう。
さて今回の結果は最も低い数字でも「盆供」80%。それほど頻出する語ではありませんし、「供」にはいろいろな読みがありますが、やはり「盆」に合うのは「供物」の「く」だとわかっているのでしょう。
「熨斗」は最も難読と思いましたが、テーマ「中元」がヒントになったのでしょうか。熨斗は当て字で「伸し」が意味的に近い字ですが一般的には平仮名で書かれるようです。「暮らしのことば語源辞典」(講談社)によると元はアイロンのようなものだったらしく
古くは火熱で布の縮みを伸ばす道具もヒノシ・ノシと称した。贈り物につけるノシは、祝い事の贈り物などに添えられた鮑(あわび)の肉を薄く長くはぎ、引き伸ばして干したノシアハビに由来する。現在のノシの形はこれが変化したもの。
とあります。
ところで贈り物を買うとき「お熨斗、いかがしますか」と言われたことはありませんか。実は熨斗は紙の右上についているものであり「熨斗紙」というのが正しいと知り、最近デパートで贈り物を買ったときに何と言うか注意していました。すると店員は熨斗でも熨斗紙でもなく「掛け紙」と言いました。なるほど、それもありですね。
「水引」はその掛け紙や「熨斗袋」に付き物。既に「日葡(にっぽ)辞書」(1603年)に進物に用いる染めた紙ひもという解説があるそうです。なお漢和辞典によると「すいいん」と読むと、うどんのことになるそうです。多分それは漢文でしか用例はなく、「みずひき」の意味は日本独自の用法ということがうかがえます。
「飯田水引」(長野県飯田市)のホームページによると、1998年の長野冬季パラリンピックで参加選手、役員、海外報道関係者に記念品として水引細工が贈与され、世界的にも知られるようになったとのことです。2020年東京パラリンピックでもこのうるわしい日本文化を通じて世界にきずなを広げられたらよいですね。