読めますか? テーマは〈晩秋の空気〉です。
身に入む
答え
みにしむ
(正解率 87%)秋の冷気が痛切に感じられること。一般的には「身に染(沁)みる」だが季語としては主に「入」が使われる。藤原俊成の「夕されば野辺の秋風身にしみて鶉(うずら)鳴くなり深草の里」から生まれた季語という。「艶夢より覚めて身に入むわが齢」(鷹羽狩行)
(2013年11月05日)
選択肢と回答割合
みにくるむ |
5% |
みにしむ |
87% |
みにすむ |
8% |
漸寒
答え
ややさむ
(正解率 20%)少し寒いこと。「稍寒」とも書く。稍は常用漢字ではないが、競馬ファンには馬場の稍重(ややおも)でおなじみの字だ。漸は常用漢字だが、音読みのゼンしか認められていない。なお公開中の映画「劇場版SPEC~結(クローズ)~」の前編は「漸ノ篇」と銘打たれている。
(2013年11月06日)
選択肢と回答割合
ざんかん |
40% |
ぜんかん |
40% |
ややさむ |
20% |
爽秋
答え
そうしゅう
(正解率 79%)空気が爽やかで気持ちのいい秋のこと。「爽秋の候」などと手紙のあいさつに用いる。本日7日が立冬なので、今年はもう使わない方がよい。「爽やか」は秋の季語。なお爽の字の部首は「爻(こう)」。「劇場版SPEC~結(クローズ)~」の後編「爻ノ篇」に使われている。
(2013年11月07日)
選択肢と回答割合
さっしゅう |
19% |
さわあき |
2% |
そうしゅう |
79% |
冷まじ
答え
すさまじ
(正解率 47%)ひえびえとすること。本来は、興ざめ、殺風景を表す言葉だったが、季語としては「涼しい」と「寒い」の間を指す言葉として使われる。「凄まじい」と同源だが、今は別の言葉のようになっている。「一つ家に捨て魔保存魔冷まじや」(石塚友二)
(2013年11月08日)
選択肢と回答割合
さめまじ |
25% |
すさまじ |
47% |
ひえまじ |
28% |
◇結果とテーマの解説
(2013年11月17日)
この週は「晩秋の空気」。季語から取りましたが、途中で「立冬」となってしまいました。まあ「暦の上では」11月7日以降「冬」ですが、まだ気分は晩秋という方が多いでしょうから、ご容赦を。
今回最も正解率が低かったのは「漸寒」。この季語を知らなければ、漢字2字なので漢語の熟語と思っても無理からぬところです。それはいいのですが、面白いのは「ざんかん」と「ぜんかん」が同率になったことです。以前「漸次」を出題したところ、「ぜんじ」の正解率は30%で、「ざんじ」と答えた人は69%でした。つくりの「斬」に引きずられるせいでしょうが「ざん」と読む人はまだまだ多いようです。ただし同率にまで「進歩」したのは、もしかしたら「劇場版SPEC~結(クローズ)~漸ノ篇」が公開中だったからでしょうか。関係ないか。
その映画の後編が「爻(こう)ノ篇」。見たこともない字だと思った方も多いでしょうね。実は当初「爻」で出題しようかと思っていたのですが、この字は単独で使われることがほとんどないけれど、部首として「爽」を形成することを知って、方針転換しました。「爽秋」は最も読みやすいだろうと予想していましたが、「さっしゅう」という答えが思いの外、少なくありませんでした。「爽快」「颯爽」だと簡単なのでしょうが、あまり見かけない組み合わせだと難易度が上がるようです。
なお「爻」はバツが二つで「爽」は四つ。なんだかダメダメな印象を持ちますが、「部首ときあかし辞典」(円満字二郎、研究社)によると「爻」は「①細長いものを組み合わせた形②明るく輝く、鮮やかで美しい」という意味をもつ部首なので、決して悪い感じではないようです。
「爽秋」を上回って最も正解率が高かったのは「身に入む」。「入む」を「しむ」と読ませることがそんなに知られているとは思えないので、テーマと選択肢から類推されたのではないでしょうか。けっこう苦心して誤りの選択肢をひねり出したのですが……。
「冷まじ」も選択肢設定に悩んだのですが、あまりいいのが思いつかず、まあこれでいいやと出題。結果的に50%以下となりました。解説に記した俳句「一つ家に捨て魔保存魔冷まじや」(石塚友二)は個人的に「まるで我が家だ」と思って引きました。断捨離大好きの「捨て魔」と、捨てられない・整理できない「保存魔」の間にひんやりとしたすきま風が吹くという句ですね。「冷まじ」ならまだいいのですが「凄まじ」に関係が悪化しないよう、せいぜい年末に向け物を整理しなければ、と思ってはいる出題者でした。