読めますか? テーマは〈厳寒〉です。
大寒
答え
だいかん
(正解率 62%)二十四節気(にじゅうしせっき)の一つ。一年で最も寒い時期とされる。他の二十四節気に「大雪」「大暑」があるが、「たいせつ」「たいしょ」といずれも濁らない。
(2014年01月20日)
選択肢と回答割合
おおかん |
0% |
たいかん |
38% |
だいかん |
62% |
粥施行
答え
かゆせぎょう
(正解率 64%)富んだ者が貧民や僧にかゆを施すこと。冬の季語になっている。1657年の明暦大火(江戸城をも焼いた江戸史上最大の火事)では、幕府の命令で発生3日後の正月21日から被災者へのかゆの施行が行われた。
(2014年01月21日)
選択肢と回答割合
かゆしこう |
21% |
かゆせぎょう |
64% |
かんせこう |
15% |
虎落笛
答え
もがりぶえ
(正解率 59%)冬の風が柵や竹垣などに当たって笛のような音を立てること。虎落は竹を組み合わせて作った柵や垣根を指す。そこに当たった風の音が「虎落笛」の由来という説のほか、「もがる」(逆らうなどの意)からきたという語源説もある。
(2014年01月22日)
選択肢と回答割合
こがらし |
18% |
こまぶえ |
23% |
もがりぶえ |
59% |
霜夜
答え
しもよ
(正解率 63%)霜の降りる寒い夜のこと。音読みで「そうや」ともいうが季語としては「しもよ」。芥川龍之介に「霜夜」という短い随筆がある。「今夜は音も何もしない。唯(ただ)寒い夜に封じられている」。ちなみに芥川賞は今回150回となった。
(2014年01月23日)
選択肢と回答割合
日脚伸ぶ
答え
ひあしのぶ
(正解率 83%)日脚だけなら「にっきゃく」とも読むが、「伸びる」の古語を付けた季語では「ひあしのぶ」。昼の時間がだんだん長くなり、日の暮れるのが遅くなること。寒さはまだまだ続くが、冬至から1カ月以上過ぎ、春は徐々に近づいている。大寒の次の二十四節気は立春だ。
(2014年01月24日)
選択肢と回答割合
にっきゃくのぶ |
3% |
ひあしのぶ |
83% |
ひきゃくのぶ |
14% |
◇結果とテーマの解説
(2014年02月02日)
この週は1月20日の大寒にちなみ「厳寒」がテーマでした。
「大寒」は、出題後「たいかん」「だいかん」を併記する辞書が見つかり、頭を抱えました。国語辞典で「たいかん」を認めているものは見いだせませんでしたが、調べた範囲では漢和辞典5種で「たいかん」を発見。そのうちの一つ、「大字典」(1917=大正6=年初版)は併記ではなく「たいかん」のみを掲げていました。逆に「だいかん」のみとする漢和辞典も多いのですが、もしこれが入試問題なら、不適切として全員正解とされるでしょう。
もっとも、国立天文台のホームページなどで「だいかん」の読みが示され、国語辞典では「たいかん」の読みが見当たらないことを重視すれば、漢文の読み下しならぬ現代日本語の読みとしては「だいかん」が標準ということは否定できないのではないでしょうか。新聞用語懇談会編「新聞用語集」(2007年版)、NHK「ことばのハンドブック第2版」でも「○ダイカン ×タイカン」となっています(ただしこの×は「間違い」とは限らず、放送で原則として使わないということを示しています)。というわけで、あくまでもどちらがより標準的か、という観点ではやはり「だいかん」に軍配を上げたいと思います。漢和辞典の調査が不十分だったことはおわびいたします。
「粥施行」は「角川俳句大歳時記」で見つけた語です。「冬になると貧しい者には富者が熱い粥をふるまう風習が各地に見られた。今日でも地球上のあちこちに飢餓や紛争によって流れ出る難民の悲惨な姿が絶えないが、わが国における飢餓の歴史と粥施行の精神が、今もう一度思い起こされてもよいであろう」と山下知津子さんの解説があり、「ボランティア朝まだきより粥施行」という竹内柳影さんの句が載っています。
「虎落笛」も冬の季語。今回最も正解率が低くなりました。「もがり」といえば映画「殯(もがり)の森」で知られる、貴人の遺体の安置(所)を表す古語と同音で、ある歳時記は語源的に関連づけていますが、どうなんでしょう。資料によっては他にもさまざまな語源説が挙げられ、どうも定説がないようです。ただ「虎」という当て字が不安をかき立てる風の音にマッチしたということはいえるでしょう。
「霜夜」は検索していて偶然、青空文庫の芥川龍之介作品にぶつかりました。小品ですが俳諧的風味のあふれた練達の文章。こういう作品がネットで読めるのはありがたいのですが、活字でも味わいたいと思います。
「日脚伸ぶ」は今回最も正解率が高かったのですが、よく使われる季語ですのでもう少しいくかなと思っていました。