ある日の校閲で目にした「脈略」……このような言葉はなく、「脈絡」の誤りでした。正しくは「ミャクラク」ですが「ミャク」の音につられて「リャク」になってしまったのかもしれません。たまに見かける”せりふをかむ”ような誤植です。
脈絡は「血管」「物事の一貫したつながり、筋道」のこと。「絡」という漢字は、糸をめぐらすという意味を表しています。
入力ソフトの変換機能が発達した現在でも、そもそもかな入力を間違えればどうしようもありません。大抵はスムーズに変換できないのでどこかでミスに気付けますが、何かの拍子に存在しない熟語ができてしまうこともあります。
ミスではなく、言葉を間違えて覚えていたために確信をもって無理やり変換してしまうケースはより危険です。「貪欲」を「貧欲」にしてしまう、などはその一例ですね。