
近ごろよく見る「インテリジェンス」について伺いました。
目次
「分からない」も3割
| 国の「インテリジェンス」機能を強化する――カギカッコの中、意味は分かりますか? |
| 十分理解できる 10.7% |
| なんとなく分かる。説明は不要 9.3% |
| なんとなく分かるが説明がほしい 48.4% |
| 分からない 31.6% |
近ごろよく見る「インテリジェンス」。「なんとなく」も含めて意味が分かるとした人は約7割。残りの3割は「分からない」ということです。新聞では「情報収集・分析」のような説明を加えて使っていますが、その情報という語についても日常的な意味とは少し離れるところがあるようです。
「情報」と一部重なり合い
毎日新聞の1面コラム「余録」でも「インテリジェンス」について触れていましたが、ここでの主役は「情報」の方です。
明治期には「様子の報告」程度の意味だったらしい。第一次大戦で欧州各国の戦時情報機関の重要性が認識され、英語のインテリジェンスと密接に結びついて「諜報(ちょうほう)」の同義語として使われ始めた……▲小学館の日本国語大辞典が「情報」の意味の変遷について定評ある「語誌」で解説している。昭和初期に内閣に情報委員会が置かれ、情報部、情報局と組織を拡大する中で人々の耳目にとまるようになったそうだ
(2026年4月24日毎日新聞朝刊)
要するに「インテリジェンス」と結びつけられた「情報」は、インフォメーションとしてのお知らせでも、あるいはコンピューターが処理するデータでもなく、調べるべき対象のあれやこれやを表裏にわたって収集・分析するものであるということです。
アンケートの回答時に見られる解説で、英語intelligenceの第一義は「知性」や「理解力」だと記しました。「諜報」のような意はその一部ですが、その部分が「情報」の一部と重なり合い、今注目されているわけです。
新聞は「インテリジェンス」に「情報分析・収集」という説明を付けると上で述べましたが、「情報」自体が「インテリジェンス」の意味に影響されているとしたら、何だか堂々巡りの説明を付けているようにも見えます。もう少し何とかならないかとは思いますが、考えてみても妙案は思いつきません。
「インテリジェンス」が近づいてきた?
「HUMINT(ヒューミント)」という言葉があります。Human Intelligenceの略で、伝統的な人間を介した情報活動を指します。一方で「OSINT(オシント)」という言葉もあり、これはOpen-Source Intelligenceの略です。公開された資料などに基づく情報活動のことで、インターネットの普及によって一般の人でも携わることができるようになっています。インテリジェンスが私たちに近づいている面もあるでしょう。

考えてみれば、校閲記者も日々、記事に書かれている内容を確認するためにせっせとインターネットで検索をしています。調べれば「だいたい情報は出てくる」という記者もいるぐらいで、優秀な人はオシントにでも転じればよいのではないかと思うこともあります(本当に転じたら困るのですが)。
幅の広さをどう押さえるか
もっとも、近ごろ政府が強化を目指している「インテリジェンス機能」は情報の収集・分析という言葉だけではつかみにくい、外国の諜報活動の防止やサイバー犯罪対策などまで含んでおり、かなり幅の広いイメージになっています。
アンケートでは「なんとなく分かる」が多い一方、「分からない」も3割に上ったことから見ても、実態はまだ十分に共有されていないかもしれません。今後の国会などでの議論を通じて理解は進むでしょうか。
(2026年05月18日)
高市政権が熱心に取り組む「国家情報会議」の設置。国の「インテリジェンス」機能を強化するために必要とのことですが、そのカタカナの意味が十分に伝わっているかを伺いました。毎日新聞では(情報収集・分析)というカッコ書きを付けて説明することが多いようで、他紙も同様とみられます。
英語「intelligence」の訳語としての「情報」は、さまざまな意味合いを含みます。公開情報もあれば秘密情報もあるでしょう。諜報(ちょうほう)という言葉もありますが、これは秘密情報に焦点を当てた言葉です。「諜」の字が常用漢字に入っていないという事情もあるとは思いますが、より広い範囲を指す「情報」が使いやすいのも確かです。
さてしかし、AI(人工知能)の「I」も同じくintelligenceを指しますが、この場合は「知能」の意味です。英和辞典を見ると、第1義は「知性」「知能」「理解力」などとするものが多く、たとえ(情報収集・分析)というカッコ書きが付いていてもピンとこない人は多いかもしれません。どれほど理解されているのか、改めてこの場で皆さんに聞いてみた次第です。
(2026年05月04日)
