「学べるゲラ」とは
実際の新聞原稿を元に、校閲記者が見つけた(見逃した)間違いやありがちなミスを盛り込んだゲラ(校正刷り)を作成しました。読んで誤字脱字・事実関係の誤りなどを探してみてください。
校閲記者が読んだ後の「校閲後」のゲラと解説(有料会員限定)も掲載していますので、自分の入れた直しと見比べられます。
「校閲は先輩のゲラを見るのが一番の勉強」といわれます。ゲラからは、校閲記者がどのように読み、考え、調べ、直しを入れて疑問を出すかが読み取れます。専門の校閲・校正者以外の方が「校閲後」のゲラと解説を読むだけでも、間違えやすいポイントやミスの潰し方などの参考になります。
👉学べるゲラ第106回・校閲前(PDF)
※こちらから別タブ表示、ダウンロードすることが可能です
子どもの視力低下についての文章です。データを調べるだけでも大変ですが、それが正しく記述されているかどうかにも気をつけながら読みましょう。
👉学べるゲラ第106回・校閲後(PDF)
※こちらからPDFを別タブ表示、ダウンロードすることが可能です
直しの難易度の目安
<誤字脱字・誤用など>
【★☆☆】丁寧に読めば指摘できる
【★★☆】基本的な校閲の知識で指摘できる
【★★★】言葉に関する専門的な知識や経験が必要
<文脈理解>
【★☆☆】普通に読めば指摘できる
【★★☆】注意深く読む必要がある
【★★★】原稿全体の理解や背景知識が必要
<事実確認>
【★☆☆】常識的な知識で指摘できる
【★★☆】調べれば比較的簡単に指摘できる
【★★★】綿密な調査が必要
数字は一つずつ丁寧に確認しましょう
【★★★】(1ページ目上段)いずれも12ポイント以上増え→いずれも11ポイント以上増え?
2024年度の子どもの視力については、文部科学省の「学校保健統計」から調べます。「結果の概要」→「令和6年度」と進み、「令和6年度学校保健統計(確定値)の公表について」(pdfファイル)を見ます。
04年度の数字は、上記のリンクから「結果の概要」→「結果の概要(平成8~30年度)」と進んで調べます。
ゲラへの書き込みで分かるように、24年度の数字が04年度から12ポイント以上増えているのは中学生だけです。小学生と高校生も合わせて「いずれも」と書くのであれば「いずれも11ポイント以上増え」としないと不正確です。問い合わせます。
その他の直し箇所
【★☆☆】要員→要因
同音異義語の変換ミスです。頻出する誤りなので気をつけましょう。
「子ども」「子供」「こども」……表記のゆれに注意
【★★☆】子ども家庭庁→こども家庭庁?
「こども家庭庁」は固有名詞で、「こども」は平仮名を使っています。これも頻出する誤りです。問い合わせて直します。
今回のゲラで多く出てくる「子ども」は、他に「子供」「こども」とも表記され、地の文で表記が割れがちです。もしそういった状況になった場合は、表記が違う理由がなさそうであれば、固有名詞や引用を除いて表記をそろえることを提案してもよいでしょう。
【★★☆】タブロイド端末→タブレット端末
タブロイドは、「A4」「四六」などと同じく判(新聞や書籍などのサイズ)の一つ。スマートフォンやゲーム機といった端末機器の話の中で「タブロイド」とあった場合、「タブレット」と混同されている可能性があります。
【★★☆】窓など遠くを見て→窓の外など遠くを見て
「窓などを見る」だけでは言葉足らずと言えます。窓ガラスに付いた汚れを見るといった状況でない限りは「窓の外などを見る」という形にしたいところです。

【★☆☆】地域の事情に遭ったルール作り→地域の事情に合ったルール作り
同訓異義語です。「調和」というニュアンスなので「合った」がよいでしょう。
【★☆☆】2人に1人が近視になると推計がある→2人に1人が近視になるとの推計がある
「~と推計されている」なら「と」だけでもいいのですが、ここでは推計が名詞なので「~との推計」とした方がよいでしょう。
質問受け付けます
「ここに赤字が入っていないが直さなくていいのか」「解答例の直しは不要ではないか」など質問がありましたら、お問い合わせページからタイトルを「学べるゲラ第106回質問」としてお寄せください。質問が多かった箇所やなるほどと思った指摘を中心に、このページで回答いたします。全ての質問に回答できるわけではありませんのでご了承ください。