2012年8月に台風15号が沖縄を直撃したとき、大学時代の後輩がツイッターで「台風の最強級ってどういうこと?」とつぶやいていました。確かに! 何に基づいて「最強」なのかが分からなかったからです。台風の大きさ? 風の強さ? それとも気圧の高低?
気象庁は、台風の勢力を示す指標として、10分間平均の風速をもとに台風の「大きさ」と「強さ」を表しています。「大きさ」では、風速15メートル以上の領域の半径が500キロ以上のものを「大型」、800キロ以上を「超大型」としています。それに対して「強さ」は、最大風速で区分され、33メートル以上44メートル未満のものを「強い」、44メートル以上54メートル未満のものを「非常に強い」、54メートル以上のものを「猛烈な」と定めています。
毎日新聞の記事検索システムで過去の記事を検索してみると、「最強級」に関する見出しは、気象庁が指標に採用している「大きさ」「強さ」ではなく、中心気圧の高低(ヘクトパスカル)に基づいていました。ヘクトパスカルは、数値が低ければ低いほど最大風速が強くなり、これまでの「最強」の台風は、870ヘクトパスカルまで発達した79年の台風20号。965ヘクトパスカルで上陸し、全国で115人の死者・行方不明者が出ました。上陸時の中心気圧では、1828(文政11)年、九州・中国地方に大きな被害をもたらした「子年(ねのとし)の大風(おおかぜ)」(通称・シーボルト台風)の900ヘクトパスカルが過去300年で最強との研究成果があるそうです。
台風ではありませんが、米国では過去「最強」のハリケーンとして、05年にルイジアナ州ニューオーリンズ市を襲った「カトリーナ」が挙げられます。最低気圧902ヘクトパスカルを記録し、約1800人もの犠牲者を出した未曽有の大災害でした。ちなみに、米メディアは大規模な災害が起きたときに、被害総額を取り上げることが多いのですが、カトリーナでは被害総額が1080億ドル(約8兆6400億円)にも上りました。こういった多角的な視点からの検証も、被害の甚大さの再確認のためには必要なのかもしれません。