読めますか? テーマは〈馬〉です。
流鏑馬
答え
やぶさめ
(正解率 95%)馬に乗った射手が、的の前を駆け抜けながら矢を放つもの。平安時代には成立していたらしいが、盛んに行われたのは鎌倉時代になってからである。「馬を馳(は)せながら矢を射る」、つまり「矢馳せ馬」からできた言葉とする説がある。
(2013年12月16日)
選択肢と回答割合
馬手
答え
めて
(正解率 74%)馬の手綱を持つ手ということから、右手、または右の方を指す。左は「弓手(ゆんで)」。「ばしゅ」と読むと馬の世話をする人のこと。ちなみに「馬主」は「ばしゅ」とも「うまぬし」とも「ばぬし」ともいう。
(2013年12月17日)
選択肢と回答割合
駑馬
答え
どば
(正解率 61%)足の遅い馬のこと。「騏驎(きりん)も老いては駑馬に劣る」(優れた人物も年老いては凡人にも及ばなくなる)ということわざで知られる。「駑馬にむち打つ」は才能のない人が精いっぱい努力すること。自分の能力をへりくだっていうことが多い。「駑馬にむち打って頑張ります」などと年賀状に使えるかも。
(2013年12月18日)
選択肢と回答割合
種牡馬
答え
しゅぼば
(正解率 59%)種馬のこと。特にサラブレッドについていう。競馬関係では頻出語。今年最後の大レース、有馬記念は12月22日。2011年の有馬記念優勝馬、オルフェーヴルが出走後引退、種牡馬になる予定。
(2013年12月19日)
選択肢と回答割合
しゅおば |
8% |
しゅひんば |
33% |
しゅぼば |
59% |
天馬空を行く
答え
てんばくうをゆく
(正解率 43%)天馬は「てんま」ともいう。天馬が自由に空をかけるように考え方が自由奔放なこと。1976年の有馬記念優勝馬トウショウボーイは天馬と称された。なお、ギリシャ神話のペガサスのことも天馬といわれる。
(2013年12月20日)
選択肢と回答割合
てんまそらをゆく |
49% |
てんばくうをゆく |
43% |
てんばそらをゆく |
8% |
◇結果とテーマの解説
(2013年12月29日)
この週は2014年のえとにちなみ「馬」がテーマでした。
ちなみに、正式には来年のえとは「午」ですから、毎日新聞ではなるべく「えとの馬」「馬年」などと直結して表記せず、「えとにちなんだ馬」などと書くようにしています。出題者は入社するまでは年賀状に平気で「馬年」と書いていたのですが。
年賀状といえば、えとにちなんだことわざや熟語を織り込む人もいるかと思いますが、めでたい言葉を挙げようと思うと意外に苦労するのではないでしょうか。たとえば蛇の言葉は「やぶ蛇」とか「竜頭蛇尾」とか、年賀状に使えるようなものはほとんどありません。それに比べると馬は「馬耳東風」「馬齢を重ねる」などマイナスの言葉も多いのですが、「馬が合う」「馬肥ゆる」「人間万事塞翁が馬」など使えそうな言葉も並んでいます。
毎日新聞の「週刊漢字」で紹介したのは「駑馬十駕(どばじゅうが)」。名馬は一日に千里を走るが、足の遅い馬でも十日間休まず行けば追いつくという意味です。うさぎと亀のイソップ物語を思わせますね。ただしこの四字熟語を載せていない辞書も多く、「駑馬」は「騏驎(きりん)も老いては駑馬に劣る」のことわざの方が有名でしょう。そういえば「きりん」には鹿へんの「麒麟」と馬へんがあるってご存じでしたか。これも仕事の読み合わせで初めて知りました。先日後輩が娘に「きりん」の「りん」の字を名前に付けたと聞き、「鹿へん? 馬へん?」と聞いてしまいました。しかし馬へんの驎は人名用漢字にないので法律上付けられず、この質問は無意味でした。
さて正解率です。「流鏑馬」は「るんば」など間違いの設定に苦労しましたが、それをあざ笑うような高率となりました。
「馬手」。「ばしゅ」という読みもあることで選択肢が狭まりました。なお、「馬主」は「ばしゅ」「ばぬし」「うまぬし」と複数の読みがありますが、「日本中央競馬会の登録を受け、所有馬を中央競馬に出走させることのできる有資格者」の意味では「うまぬし」とされています(大辞林より)。
「種牡馬」は毎日新聞ではルビなしでの使用を認めていますが、読みにくかったようです。競馬好きには自明でしょうから、競馬のページではルビは不要なのでしょうが……。
「天馬空を行く」。辞書で「てんま」を引いたとき「伝馬」「天満」があっても「天馬」が見つからないので不思議に思ったことがあります。いわゆる空見出しにして「てんば」を見よとしている辞書もありますが、一般的には「てんま」と読む人が多いのではないでしょうか。今回のクイズは「てんま」を誤りとできないので「空」の読みとの組み合わせで選択肢を設定したのですが、正解率が最も低くなった一因は「てんま」が正しいと思い込んでいる人の多さにあるように思います。1970年代のことなので絶対とはいえませんが、テンポイントらと伝説的な名勝負を繰り広げたトウショウボーイもその異名は「てんま」と発音されていた記憶があります。なおトウショウボーイの名は知らなくても、その子ミスターシービーは記憶に新しい人が多いでしょう。トウショウボーイは種牡馬としても天馬の名にふさわしいといえます。