読めますか? テーマは〈戦国〉です。
小田原評定
答え
おだわらひょうじょう
(正解率 69%)豊臣秀吉に攻められた北条氏の重臣が、降伏か抗戦か小田原城で延々会議をしたことから、結論が出ない会議を指す。NHK「軍師官兵衛」は黒田官兵衛が無血開城に導くべく小田原城に乗り込む場面から始まった。
(2014年02月24日)
選択肢と回答割合
おだはらひょうじょう |
8% |
おだわらひょうじょう |
69% |
おだわらひょうてい |
23% |
大返し
答え
おおがえし
(正解率 61%)「退却する途中で全軍が引き返して敵軍に反撃すること」と「日本国語大辞典」にある。が、黒田官兵衛も関わった「中国大返し」は織田信長の死を知った豊臣秀吉軍が中国地方から猛スピードで明智光秀を討つべく畿内に向かったことを指す。
(2014年02月25日)
選択肢と回答割合
おおがえし |
61% |
だいがえし |
11% |
どんでんがえし |
28% |
殿
答え
しんがり
(正解率 64%)隊列などの最後尾のこと。「後駆(しりがり)」の変化。軍隊の退却のとき、敵の追撃を防ぐ重要な役となる。殿の字は、臀部(でんぶ)に通じ「しり」の意を持つためという。豊臣秀吉の「中国大返し」で黒田官兵衛はしんがりを務めたといわれる。
(2014年02月26日)
選択肢と回答割合
うえさま |
16% |
おやかた |
21% |
しんがり |
64% |
「洞が峠」を決め込む
答え
ほらがとうげ
(正解率 76%)有利な方に付こうとして形勢をうかがうこと。京都府・大阪府の境にある峠の名から。本能寺の変後、明智光秀と豊臣秀吉が天下の覇権を争った山崎の戦いで、天王山を望むこの峠で筒井順慶が戦況を見定めたという俗説から。
(2014年02月27日)
選択肢と回答割合
うろがとうげ |
17% |
どうがとうげ |
7% |
ほらがとうげ |
76% |
母里太兵衛
答え
もり・たへえ
(正解率 69%)姓は「ぼり」とする説もある。黒田官兵衛の家臣。豪傑、酒豪として知られる。大杯を飲み干して福島正則から名高いやりを譲り受けた逸話は、「酒はのめのめのむならば」という民謡「黒田節」(黒田武士)の基になった。
(2014年02月28日)
選択肢と回答割合
ぼり・ふとべえ |
4% |
もり・たへえ |
69% |
もりた・ひょうえ |
27% |
◇結果とテーマの解説
(2014年03月09日)
この週はNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」にちなみ「戦国」がテーマでした。
「小田原評定」「洞が峠」は数字は悪くないのですが、ともに戦国時代由来の慣用句として有名だと思っていたのでもう少し高い正解率を予想していました。
黒田官兵衛の家臣「母里太兵衛」は実は「ぼり」説も有力で、福岡県直方市に「ぼりたへえくん」というキャラクターも生まれています。酒豪で「黒田節」のもとになったという逸話がありますが、大河ドラマでは速水もこみちさん演じる母里が早速いい飲みっぷりを発揮していました。
「殿」はそれらしい誤答を用意したつもりだったのでもっと低い数字を期待(?)していました。しんがりは敵の追撃を防ぐ重要な役どころ。この「追撃」がこの言葉本来の用法ですが、現在、逃げる敵を追い打ちするのではなく、「首位の巨人を追撃」のように勝っている相手に迫る意味で使うことが増えています。その意味を付記する辞書も現れ始めていますが、毎日新聞では「追い上げ」などに直すようにしています。
最も正解率の低かったのは「大返し」。こういう簡単すぎる漢字が実は往々にして読みにくい。ルビが振られることはあまりありませんので、「おお」か「だい」かはちょっと迷うことがあります。出題者もなんとなく「だいがえし」と読んでいました。昨年「倍返し」が流行語になった影響かもしれませんが。
「おお」か「だい」かでよく問題になるのは「大地震」の読みです。日本新聞協会の「新聞用語集」では「○オージシン ×ダイジシン」となっています(×は誤った読み方または誤りではないが放送では使わない読み方)。「日本国語大辞典」で「おおじしん」を引くと「古くから『おおじしん』『だいじしん』が併用されたか。NHKでは『大地震』を『おおじしん』と読んでいる」とあります。
確かにNHKのアナウンサーは多分全員「おおじしん」と読んでいるでしょう。NHK「ことばのハンドブック」第2版に当たると「だい」と「おお」の区別を説明する「コラム」がありました。
《原則として、「大」の後に「漢語」(音読みの語)がくると〔ダイ〕、「和語」(訓読みの語)がくると〔オー〕だとされている。「大地震」の場合は〔オージシン〕である》
ええーっ、「地震」は漢語じゃないの? 明らかに音読みなんですけど。
《「地震」ということばは、かつては「雷」「火事」と並ぶ日常的な“準”大和ことばだった。それが先祖返りして漢語的になってきたらしい》
ううむ、分かったような分からないような。要するに、揺れはあるけれどまあ地震の場合は《従来、慣用的に〔オー〕と読むことになっている》と決めましたということですね。
「大返し」は悩むことなく和語同士ということで「おおがえし」でオーケー。もっとも載せている辞書は「日本国語大辞典」しか見つかりませんでしたが。しかも意味が「退却する途中で全軍が引き返して敵軍に反撃すること」。あれれ? 「中国大返し」ってそんなことしてませんよね? 秀吉軍は猛スピードで中国地方から撤退したわけですから。待てよ、「敵」が中国の毛利ではなく畿内の明智光秀と考えれば矛盾しないのか。「敵は本能寺」というぐらいだから、敵がコロッと変わる解釈も許されるのかなあ……などと戦国のテーマらしく考えてみました。