「コロナ後」という言い回しの受け取り方について伺いました。
目次
「収束した後」が7割占める
コロナ後の授業のあり方を考える――この「コロナ後」は、ぱっと見てどんな意味にとれますか? |
新型コロナウイルス感染拡大が始まった後 30.1% |
新型コロナウイルス感染拡大が収束した後 69.9% |
「収束した後」と捉えた人が7割を占めました。ただ「感染拡大が始まった後」の意味で捉える人も一定数おり、どちらともとれる文脈での使用には注意が必要とも言えそうです。
幅のある期間の「後」とは
「コロナ後」は出題時の解説にも書いたとおり、「コロナ後、客は1次会で帰宅することがほとんど」のように「新型コロナウイルス感染拡大が始まった後」という意味と、「コロナ後の観光需要を見据えてホテルを続々と開業させる」などのように「新型コロナウイルス感染拡大が収束した後」といった意味の2通りで使われています。
「○○後」は「ある事柄よりもあとの日にち、時間」といった意味で、亡くなった後で「死後」、航空機などが陸地を離れた後で「離陸後」、などのように使います。
「亡くなる」「陸地を離れる」といった行為・状態はいわば「点」で表せるものであり、「後」の目安となる時点がわかりやすいと思います。一方、今回取り上げた「コロナ」のように概念的なことばで、それが指す事態の起点と終点の間に幅がある場合は、どの時点の「後」なのかを判断するのが難しいように感じます。
「闘病後」は寛解後?
以前も「闘病後」ということばの使い方で議論になったことがありました。「闘病後初めて」のかたちで登場したのですが、出題者は調べた事実関係に基づき「闘病生活に入ってから初めて」の意で違和感なく読みました。すると、再校を担当するデスクから「闘病後、といったら『闘病生活を終えた後』と捉えるのが自然では?」との指摘が。このときは特に表現を変えるといったことはありませんでしたが、「闘病」は「点」というより「線」で表せるような継続的行為であるため、どの時点の「後」ととるかについてはこちらも判断が分かれるようです。
具体的に書く必要あり
出題者は「コロナ後」については「収束後」のイメージが強く、原稿に「感染拡大後」の意味で登場した際はいつも立ち止まってしまいます。今回の結果は、出題者の予想より「感染拡大後」の意味を選んだ人が多いと感じました。どちらの意味にも使えるものの、文脈で判断できない場合は「感染拡大後」「収束後」ときちんと書き分けた方がよさそうです。
(2022年09月01日)
新型コロナウイルス感染拡大で苦境にあえぐ飲食店を取材した原稿に、「コロナ後、客は1次会で帰宅することがほとんど」といった一文が出てきました。文脈やコロナ禍の現状を踏まえると、この「コロナ後」は「新型コロナウイルスへの感染が拡大し始めた後」との意味だと読み取れます。▲しかし、「コロナ後」は「コロナ後の観光需要を見据えてホテルを続々と開業させる」などのように「新型コロナウイルス感染拡大が収束した後」といった意味で使われることも多く、いつも使い方に迷うことばでもあります。▲今回の問題文ではどうでしょうか。感染拡大の影響でオンラインによる授業が行われるなどしたことから「拡大し始めた後」の意味でとるのか、はたまたコロナ禍を経た収束後の授業のあり方、というような意味で「収束した後」と捉えるか――。 みなさんはどちらの意味がよりしっくりくるでしょうか。
(2022年08月08日)