本来とは違う意味合いで使われている言葉や、辞書ではあまり見つからない表現について、しばしば見かける例を挙げ、「直す」か「直さない」かをマスコミ各社の用語担当者に聞いたアンケートをまとめた第2弾です。(調査について詳しくは①をご覧ください)
目次
たなびく
直す=16社 |
直さない=5社 |
4分の3強が「直す」とした。理由としては「『たなびく』は雲など形の変わるものに」「風によって旗が揺れるのは『なびく』である」などが挙がった。直し方の例は「なびかせながら」「はためかせながら」など。
「許容の範囲」などとして「直さない」は5社。その中には「雲やかすみ以外にも、横に長いものが風に流されていることに適用してもいいと感じる。ただ『髪がたなびく』だと違和感がある」という意見があった。
帯同
直す=17社 |
直さない=4社 |
「つい使ってしまいがち」「違和感を持たれないだろうし、本来の用法よりこちらの方がすでに一般的になっているのは理解しているが」などとしながらも、「直す」という声が多かった。直し方の例は「合流」「同行」など。
一方、「とくにスポーツ紙では完全に一般表現になっている」という声があったように、スポーツ紙では3社のうち2社が「直さない」とした。
掲げる
直す=19.5社 |
直さない=1.5社 |
「掲げる」は「何かを人目に付くように示すために上にあげることで、手そのものに意味があるわけではないと思われる」「何かを手に持っているイメージがある」などの意見が多く、この場合は「上げて」「挙げて」「あげて」などに直すという声が圧倒的だった。
ただ、「直す」としつつ「多数の使用例があり、すでにお手上げ状態」とコメントした社も。許容範囲とする意見もゼロではなかった。
たたずむ
直す=14.5社 |
直さない=6.5社 |
「たたずむ」は本来「人」に使う表現であるとして「直す」という意見が多かったが、「直さない」も3分の1弱を占めた。それぞれ「小説的な文章で擬人化の意図を感じれば直さないかもしれないが、この場合は特に意味を感じないので『ある』でいいと思う」「擬人化/静かにそこにある感じで直しにくい」など、迷うコメントが散見された。直し方の例は「一角にある」「建っている」など。
「以前は直していたが、もはや定着した感がある」「人間でなくても比喩的に使っているのであれば、そのままに」など、人以外への使用を許容する声も少なくなかった。
かみ殺す
直す=19社 |
直さない=2社 |
「かみ殺す」を悔しさにも使えるかどうかがポイントだったが、「直す」が大半を占めた。直し方の例は「押し殺して」「こらえて」「抑えて」など。
許容できるとする声はほとんどなく、「実際に多数使われ、直していない」とした社も「直したい」とコメントした。