日本の10代2人がメダルを獲得したソチ五輪スノーボード競技。「スノーボード」を「スノボ」と略して書いている記事を読みながら、正式種目になった1998年の長野五輪のころだったか、「スノボ」「スノボー」と混在する略語の表記を「スノボー」に統一しようという動きが部内であったことを思い出しました。
どちらが正しいというようなものではないのですが、似た略語の「スケボー」(スケートボード)を「スケボ」とはあまり言いませんし、当時は「スノボ」という3字略は、据わりが悪い感じがしたのかもしれません。新聞では分かりやすさのため、なるべく略さずに書き、略語は、見出しや会話文などでの使用が中心なのですが、前述のような経緯があったせいか、過去記事を調べると、90年代は「スノボー」が優勢でした。にもかかわらず最近は「スノボ」が多くなっています。字数が限られる見出しで使うには、1文字でも短い方がやりやすいという意識も影響しているような気がします。
手元の辞書をいくつか見てみると、「スノーボード」の項目に大辞林3版(06年10月刊行)、広辞苑6版(08年1月)が付記しているのは「スノボ」、新明解国語辞典7版(11年12月)が「スノボー」で、三省堂国語辞典7版(14年1月)は「スノボ(ー)」と両方を示しているなど、いろいろです。
カタカナ略語の揺れといえば、よく話題に上るのは「メールアドレス」の略語の「メルアド」と「メアド」でしょうか。本紙では、最近もそれぞれ使われていて、過去記事でも拮抗(きっこう)していましたが、じわじわ「メアド」が増えてきているような感じもします。
辞書の「メールアドレス」の項目では、広辞苑6版が「メアド」のみ、大辞泉2版は「アドレス」のほか「メルアド」「メアド」両方を記し「補説」として「若い年齢層では『メルアド』より『メアド』と略す傾向があるといわれる」としています。ちなみに、言葉の変化を敏感に取り入れるとされる三省堂国語辞典は、7版から「メルアド」「メアド」「アドレス」に、「アド」を加えました。「アド」というのは個人的に周囲でまだ聞いたことがありませんが、「メアド」がさらに短くなっているということなのでしょうか。興味深いところです。
【大木達也】