読めますか? テーマは〈記号〉です。
目次
双柱
そうちゅう
(正解率 47%)‖などの符号の呼び名。本来の双柱はイコール(=)とは別物だが、「主催=毎日新聞社」などと使われるイコール記号を「双柱」と称することが多い。これに対し「―」は「単柱」「ダッシュ」などといわれる。
(2015年09月24日)
選択肢と回答割合
そうちゅう | 47% |
ならびばしら | 13% |
ふたばしら | 41% |
角括弧
かくかっこ
(正解率 44%)[ ]の呼び名。ATOK入力で「を変換すると[の名称として“[全角]始め大括弧、始め角括弧”という表示がある。ちなみに新聞や辞書で多用される【 】は「隅付き括弧」という(大辞泉)。
(2015年09月25日)
選択肢と回答割合
かくかっこ | 44% |
すみかっこ | 30% |
つのかっこ | 27% |
◇結果とテーマの解説
(2015年10月04日)
この週は連休のため2回だけでした。
漢字クイズがない日は代わりにツイッターでつぶやいているのですが、敬老の日に「老老介護」は「老々介護」としない方がいいということ、次の休日は職場で( )をパーレンと言っていること、秋分の日には#と♯は違うことを記しました。その流れで記号の呼び方を漢字の問題にしました。
正確には、井桁とか番号記号とかナンバーサインといわれる記号(#)と音楽記号のシャープ(♯)は違います。ただ日本では電話ボタンの表示が「#」なのに「シャープを押してください」と言うのが通用しています。まあ「井桁を押して」と言われても戸惑ってしまう人は多いでしょうけど。〔が〕
— 毎日新聞 校閲センター (@mainichi_kotoba) September 23, 2015
主に参照にしたのは「句読点、記号・符号活用辞典。」(小学館辞典編集部編)。正解率は低くなりましたが、職業用語の一種なので、一般の方は分からなくても何ら気にすることはありません。
毎日新聞では【 】のことを「亀甲(きっこう)」とよんでいるのですが、本当は亀甲だと〔 〕を表すようです。【 】は「隅付き括弧」だそうです。新聞では〔 〕も[ ](角括弧)もほとんど使わないので、言いやすい「亀甲」で通用しているのだと思います。
=も校閲職場では「双柱(そうちゅう)」と言っていますが、「2本棒」などという人もいます。「句読点、記号・符号活用辞典。」では「双柱」の前に「二重ダッシュ」などと書いてあります。パソコンでは出しにくいのでここではイコールで代用していますが、毎日新聞ではつなぎの符号としてイコールと違う記号を使っています。非常に細かい違いなので、並べてみないと分かりません。「句読点、記号・符号活用辞典。」にある該当項目を並べてみました(上の写真。小学館さん、無断で切り張りしてごめんなさい。でも宣伝もしますから)。
この本は記号の呼び名や使い方、パソコンでの入力法があって役に立ちます。例えば「ゞ」はどう打てばよいか。「おなじ」か「くりかえし」と打って変換すればいいのです。まあ「いすず」と打っても変換すると思いますけど。それだけでなく、「ゞ」は今も子どもの名前に使えるということが分かります。ちなみに「々」(同の字点)や「ー」(長音符号)も命名に使えます。しかし句読点は不可なので「弘、」なんて役所では当然受け付けてくれません。「藤岡弘、」の芸名には「、」が付きますが、本名ではないことはいうまでもないでしょう。
――などという雑学的知識も面白いのですが、記号には職業上感じる怖さもあります。新聞で時にやってしまうのが、カッコの初めがあるのに閉じるカッコがない、あるいはその逆という失敗です。締め切り間際に編集者が急いで原稿を削ったときなどに発生します。井上ひさしさんには「括弧の恋」(新潮文庫「言語小説集 」所収)という、記号を擬人化したばかばかしい短編がありますが、カッコ同士が泣き別れになるという事態は全く笑い事ではありません。
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また「、」の位置で意味が変わってしまったり、「。」が抜けて意味不明な文章になったりする場合もあり、記号は文字と同じく、校閲にとっておろそかにできないものなのです。