しばしば見かける、本来とは違う意味合いで使われている言葉や、辞書ではあまり見つからない表現について、「直す」か「直さない」かをマスコミ各社の用語担当者に聞いたアンケートからまとめました。(調査について詳しくはこちらの①をご覧ください)
目次
受け止めは
直す=13.5社 |
直さない=6.5社 |
言葉足らずであり「受け止め方」「反応」などに直すという意見が多数だった。特に調査対象の民放テレビ局は4社とも「直す」と回答。「『受け止め』は『NHK用語』だと思います」「『受け止め』だけでは活字、アナウンスともに不十分な感じはいなめない」などのコメントがあった。
「本来『受け止め方』だろうが、定着している」「『差し止める』『差し止め』などと同じかと思うと、一概に駄目とは言えない」「違和感はあるが、最近の言い回し」などと許容する意見もあったが、全体では「直さない」は「直す」の半分程度にとどまった。「確認すると近年多数の使用例があり驚いた」「ごく最近に使われだしており、流行語的なものかとも思う」といった声もあった。
きめ細やかな
直す=12.5社 |
直さない=7.5社 |
「きめ細やか」は、「きめ細か」と「こまやか」の混同であるため、この場合は「きめ細かな」「こまやかな」などに直す、という回答が多くを占めた。
一方で、「『細(濃)やか』と『細かい』の区別がはっきり分かる人は少ないかもしれない」「直すべきだと思っても、現実は直らず出てしまうかも」などという声や「意味は破綻していない」「細部にわたるケアという意味であればおかしくない」として許容する意見もあった。
しのぎ合って
直す=18社 |
直さない=2社 |
「しのぎを削っている」などに直すという意見でほぼ一致した。「お互いにしのぐ(耐える)というのは意味をなしていない」「『他の上に出る』『優位に立つ』の『凌(しの)ぐ』からイメージするためか」「『しのぎ』は、刀の鎬で、お互いの刀の鎬を削り合うほど激しく打ち合うこと。動詞の『凌ぐ』とは別物」などのコメントがあった。
同時に「『鎬』『凌ぎ』の違いもほとんど理解されていないと思う」「使用例は、ボクシングなどスポーツ中心にいくつか見つかったが、いずれも『がまん比べ』の意味」「“しのぎ合っている”と聞くと、露天商同士が商売で争っているように聞こえる」という指摘も。
口を突いた
直す=16.5社 |
直さない=3.5社 |
言葉足らずなので、慣用句の「口を突(つ)いて出た」や「口に出た」に直すという意見が、多数を占めた。
ただ「慣用句と違うと言えないほど頻出している」「ついた結果出るのは当然だと思えなくもない」「省略と考えて許容できる」との声も一部にあったほか、「つく」の漢字が本来は「衝く」である(常用漢字ではないため新聞では「突く」を使うのが原則)ことなどから、平仮名にしたいという指摘もみられた。