*‥‥……‥‥*‥‥……‥‥*‥‥……‥‥*‥‥…vol.33 *2023.9.19*
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こんにちは。毎日新聞校閲センターです。

毎日ことばplusの会員の方へ、サイトの注目コンテンツや校閲記者の気になる出来事などを週1回お送りします。

洋数字化の記憶

今月、中日新聞・東京新聞さんが洋数字化しました。漢数字を基調にしていた表記を算用数字(洋数字)を基調に書くことにするという大きな変更です。同紙の校閲記者たちの苦悩がこちらにつづられています。

それで自分たちのことも思い出しました。1996年版毎日新聞用語集をつくるため厳しい作業をする日々の中、突然降ってきた「洋数字化しよう」。

まだ若く、用語集改訂に初めて携わった筆者は、用語集改訂に合わせて計画的に発案されたわけでなく、「単なるだれかの思いつき」のように見える方針転換に、嘆き悲しんだことを覚えています。

洋数字表記の基準、多くの用例を盛り込み、なんとか96年春の用語集改訂に間に合わせましたが、その後、改めて社内でアンケートをとっていたことも思い出しました。先日の職場の引っ越しの際、そのアンケート用紙が出てきたのです。写真のようなアンケートが同年12月に配布されていました。97年7月に作成された報告書によると全本社約900人から回答が得られたとのこと。「昨年4月、急展開でスタートさせた洋数字化であったが、全般によく定着し、洋数字使用の基準などについても結構よく守られている」とする一方「多くの記者が基準を踏まえたうえでなお、グレーゾーンでどちらを使うべきか悩んでいる様子が手にとるようにわかる結果」とも書かれていました。

 

最近の直しから

実際にあった直しを紹介します。今回は政治関係で。

麻生太郎氏は現在、自民党の副総裁です。過去に「副総理」を務めていたこともあって紛らわしいのですが、副総理は内閣の、副総裁は党の役職ですから、全くの別物です。


こちらに「直し」は書いていませんが、筆者が帰宅途中、スマートフォンで内閣改造・自民党役員人事に向けた記事のこのくだりを読み、慌てて本社にいる同僚に連絡しました。首相が「在任中」に亡くなったならおおごとです。当時の小渕恵三首相が倒れても当初は伏せられたままの緊急入院で、「密室協議」により森喜朗氏が後継の首相に決まり、入院の3日後には森内閣発足――という2000年4月の経緯を筆者はよく覚えています。小渕氏が亡くなったのは翌月のことで、「在任中に急死」ではなかったのです。

今回の紙面は取り直し(いったん印刷し始めたページの輪転機を止めて作り直すこと)で「首相在任中に入院して急死」と直すことができ、誤りを読者に届けずにすみました。

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