*‥‥……‥‥*‥‥……‥‥*‥‥……‥‥*‥‥…vol.22 *2023.6.27*
毎日ことばplusメールマガジン
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こんにちは。毎日新聞校閲センターです。

毎日ことばplusの会員の方へ、サイトの注目コンテンツや校閲記者の気になる出来事などを週1回お送りします。

書籍資料をカードに

前週は昔の職場写真を紹介しましたが、また古いものが出てきました。

カードがぎっしり入っているな……と思ったら、先輩らの見慣れた文字で、職場にある書籍資料が書き出してありました。数えると300枚以上。共同通信社の「世界年鑑」が1994年版まであったので、その頃に作成されたとみられます。

筆者は自分で書いたことも覚えていなかったのですが、見つけました。自分のサイン(仕事上で自分が校閲したということを示すためにゲラに書くマーク)があり、頑張って丁寧に書いたような文字でした。

書籍資料が大切であることは今も変わりありませんが、紙面データベースやネットの検索もできなかった時代です。勘も頼りにしながら縮刷版や書籍をひたすらめくって調べていました。大変だったけれど、それによって覚えたことが後に役立ったりもしたものです。

カードの文字の大半は前週このメールマガジンでご紹介した「資料魔」の先輩。問い合わせたところ、きっかけについて「1993年3~4月、選抜高校野球大会のため大阪本社に応援出張をしたこと。大阪の校閲で見習うべきだと感じた一つに、書籍配置があった」と証言。

「ネット検索などなかった時代、書籍資料が頼みだったにもかかわらず、校閲職場の資料というのは数ばかりあっても『どこかにあるはずだが使えない』ものが多い状態だった。そこで、まずは職場資料の全容把握が必要と考え、だれにでも手すきの折に参加してもらって片端から書き出してカードを作った。カードを作成したものは分類別の色シールを貼って再配置した。それによって、仕事ごとに使用頻度の高い資料はあまり席を立たずに手に取れるようになったはずだ」
と話しました。

最近の直しから

実際にあった直しからご紹介します。


ロケットで人工衛星を打ち上げた際の記事です。この2カ所の「機」は人工衛星の数です。助数詞としての「機」は飛行機を数えるときに使いますし、この原稿でもロケットについてなら「機」でよかったでしょう。しかし、人工衛星はロケットに乗せないと宇宙に行けないように、自ら動くことはできません。こうした「据え置くもの、人間ひとりの手では動かしがたいものなど」(「数え方の辞典」)に「基」が使われます。
 


上の記事のロケットは「打ち上げ」でしたが、こちらはミサイル。円満字二郎さんの「漢字の使い分けときあかし辞典」には「『うち落とす』『うち崩す』『うち壊す』なども、“弾丸を放つ”場合には《撃》を使う。『ハエたたきでハエを打ち落とす』では《打》を使うのに対して、『ミサイルで敵機を撃ち落とす』では《撃》を書く」とあり、また「《撃》は相手を“傷つける”ことに重点がある漢字なので、平和利用のロケットにはそぐわない」とも。

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