2019年の春に入社し、現在校閲記者として勤務しています。私は元々、臨床心理士や公認心理師の資格を取るために大学院へ進学しようと考えていたのですが、諸事情あって民間就職へと方針転換。父親が国語教師で、自身も幼い頃から辞書や辞典が好きだったことなどから、ことばに関わる仕事がしたいと校閲を志望し、縁あって毎日新聞社に入社しました。ただ、入社まで校閲や校正の経験は一切無く、右も左もわからないまま飛び込んだ校閲の世界でした。
入社後は研修などを経て、5月ごろから紙面などの校閲を担当するようになりました。それから数カ月がたちましたが、間違いや、基準にしている用語集と異なる表記を見逃すこともまだまだ多く、反省と試行錯誤の毎日です。
焦ってしまっては、見つけられるはずの間違いも見落とします。でも、特に締め切り直前に入ってきた原稿などは、じっくり読んでいてはその後の工程に支障を来してしまう。焦らず、急いで。そして正確に。相反するように思えるそれらをなんとか成立させる、難しさと奥深さを日々痛感しています。
数カ月前、英国の地方選についての原稿を校閲しました。前回選挙時の与党の議席数についての数字が入っていたため、インターネットで地元英国のメディアなどを調べたところ、原稿中の議席数は4906、英メディアにある議席数は4896と異なっていました。原稿を出した担当者に英メディアの記事を示して問い合わせたところ、4896が正しいと確認が取れ、紙面になる前に修正することができました。
限られた時間の中、大きなミスに気づき、それが世に出る前に直せたときは、やりがいと安堵(あんど)を感じます。
【神尾春香】