*‥‥……‥‥*‥‥……‥‥*‥‥……‥‥*‥‥…vol.13 *2023.4.25*
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こんにちは! 毎日新聞校閲センターです。

毎日ことばplusの会員の方へ、サイトの注目コンテンツや校閲記者の気になる出来事などを週1回お送りします。

校閲センターの勤務表

毎日新聞校閲センターにも新人校閲記者がやってきました。まず面食らうのが勤務表でしょう。
新聞校閲は夜の作業が多く、一般的な朝出て夕方終わるような勤務以外にさまざまなパターンがあって複雑なローテーションを組んでいます。それを1カ月ごとに示した勤務表は他部署の人から「乱数表にしか見えない」と言われたこともあります。この暗号のような各記号の「解読表」、つまりそれぞれの出勤時間や仕事の内容を記した文書も作成されています。
しかし、以前は「解読表」もなく、新人校閲記者はいちいち人に聞いていました。そのため、こんな失敗も。当時あった「A」という勤務は何時に出ればいいですかと尋ねてその通り夕方に出勤したところ、「大幅遅刻」に。尋ねた相手は北関東出身の先輩。朝出勤の「A」ではなく夕方出勤の「E」と聞き違えて新人に答えていたのです。エとイの区別がつきにくい地方がある、聞き違いは恐ろしい……と校閲記者の教訓ともなっています。

2005年4月の勤務表(名前は消去)です。現在の勤務表はもう少しわかりやすくなっていますが、当時はA、Bだけでなく「GAF」「A2▼」などもあり、現在の若手部員にはさっぱりわからない「暗号」。「自」は自動車の自、「ク」は車のク。深夜の車帰りの番なのでこう書いていました。「自」は現在の勤務表にもあります

最近の直しから

日ごろの校閲作業の中で、実際にあった直しをお見せします。


今回は問い合わせをしたものを紹介します。今年の入社式などを紹介する記事で、「新型コロナの影響で2019年以降、オンラインでの開催が続いており」とあります。オンラインの開催はもしかしたら2019年から毎年だったかもしれませんが、少なくとも新型コロナの影響は2019年にはなかったはず。しかも「対面は4年ぶり」とも書かれています。というわけで「2020年以降では?」と問い合わせた結果、この「2019年以降、」を削除することになりました。

右は問い合わせの例ではなく、校閲の一存で直したもの。毎日新聞用語集に「マスクをつける」の例は載っておらず、「付ける」でもおかしくありません。とはいえ、マスクは鼻や口を覆って顔にしっかり接するものなので衣服のように「着ける」がしっくりくるだろう、「マスク着用」をよく目にすることでもあるし――ということで、新型コロナウイルスの影響で記事にマスクがよく出てくるようになって、だんだん「着ける」に統一されていきました。

マスクは「着」、人工呼吸器は「付」が好まれる – 毎日ことばplus


こちらの原稿では、2019年11月にフランシスコ・ローマ教皇が広島を訪れたことを調べて確認したうえで、「?」。ローマ教皇だったことは間違いありませんが、わざわざ「当時」と書かれていると現在はローマ教皇ではないの?と思われてしまいます。現在もローマ教皇を務めていることを確認し、出稿部に問い合わせて「(当時)」を削除しました。

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