*‥‥……‥‥*‥‥……‥‥*‥‥……‥‥*‥‥…vol.83 *2024.9.10*
毎日ことばplusメールマガジン
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こんにちは。毎日新聞校閲センターです。
毎日ことばplusの会員の方へ、校閲記者の気になる出来事やサイトの注目コンテンツなどを週１回お送りします。
先日は一般社団法人「次世代辞書研究会」による企画展「国語辞典のひみつ」をご紹介しましたが、９月は同じく日本出版クラブ（東京都千代田区）３階のクラブライブラリーで「スキマ辞書の世界」が展示されています。
スキマ＝すき間＝ニッチな辞書は、例えば「え、こんなことまで辞書にしちゃうの？」「これが一冊の辞書になっていたら夢のよう」「マニアにお薦め！」「一体だれが買うんだろう」のような辞書。
「ことばがひろがる」のコーナーに日本国語大辞典があるので「これはスキマ？」と思ったら、そこから派生してスキマへと広がる辞書たちが紹介されていました。
「ことばを選ぶ」コーナーにあった「海の辞典」「草の辞典」などのシリーズはいずれも写真集のような趣があります。そういえば、プレゼントとして買ったことがありました。
「漢字という小宇宙」コーナーには円満字二郎さんの「ときあかし辞典」シリーズなどがあり、このメールマガジンで紹介したこともある「ジグソーパズル 漢字５万字」が飾ってありました。
「ことばは鏡」コーナーも。「鏡」といえば序文で「ことばを映す“鏡”でありたい」とした三省堂国語辞典。そこから生まれた「三省堂国語辞典から消えたことば辞典」はまさにスキマ辞書。毎日ことばplusに寄稿してくださった見坊行徳さん、稲川智樹さん著「辞典語辞典」もありました。
「ことばをきわめる」「デジタルでできること」「古語辞典の新しい魅力」コーナーもあります！
９月25日（水）まで。土日祝日を除く午前10時～午後６時、東京・神保町駅から徒歩２分の出版クラブビル。入場無料です。
実際の直しを紹介します。
校閲作業では、固有名詞や数字、事実関係をとにかく調べに調べて確認します。記憶だけに頼ってもいけませんが、調べたことが記憶に残り、ぱっと見ただけで「ピンとくる」こともあります。今年のパリ・オリンピックは「100年ぶり」と言われていました。つまり「前回」は1924年です。「100年ぶり」であることや、1900年もパリ五輪だったから紛らわしい……と感じていた記憶によって、早版を眺めただけで「前回のパリ（1900年）」に引っかかりました。この文では「1900年」が正しく「前回」が誤り。早版の読者の方々には申し訳ないことでしたが、最終版では「前々回」に直すことができました。
今春には、担当面ではなかったものの、この見出しに引っかかりました。この人物は覚えていなかったのですが、タイの人名では「上の名前」で書いていた記憶があったからです。過去記事でノパドン・パッタマ氏は「ノパドン外相」のように書かれており、共同通信社「世界年鑑」などでも確認できたため、この見出しは「ノパドン元外相」と直してもらいました。
各言語での名前事情について書かれた「世界の名前」（岩波書店辞典編集部編）を読んだことも役に立ちました。同書によると、タイ語では①フルネームで②名のみで③愛称で――という三つの呼び方。名・姓の順だそうなのでノパドン・パッタマ氏は「パッタマ」が姓ということになりますが、姓で呼ぶ習慣がないとのことです。
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